躍動感が際立つ平原康
地元の1月大宮記念では4連勝で大会3連覇を達成し、地元ファンの期待に応えた平原康多。続く2月静岡記念は珍しくG3開催で決勝を外したものの、修正能力は非常に高く、静岡記念で足りないと感じたところを補う取り組みが功を奏して、全日本選抜着は見違えるような動きを披露した。単騎戦の決勝こそ消化不良のレースになったものの、前3日間は輪界を代表するオールラウンダーらしい俊敏な走りだった。基本は自力勝負だが、黒沢征治や佐々木悠葵との連係が叶うようなら前を任せよう。この大会連覇は有力だ。黒沢は調子上向き。昨年の後半戦は落車負傷の影響で動きが重かったが、今年に入り急復調。初戦の1月向日町でVスタートを決めると、大宮記念の決勝では、地元ライン4車の先頭で主導権を握り平原のVに貢献した。全日本選抜でも2日目に1勝を挙げている。
対峙する郡司浩平は全日本選抜着。大会連覇を狙うも決勝を外したが、攻撃的な競走を演じていて調子そのものに問題は感じさせなかった。今年のG3は素晴らしい成績で、初戦の1月和歌山でいきなり4連勝すると、同月豊橋着、2月静岡着と12走で9勝を挙げている。好機に仕掛けて主導権を握れば押し切りは十分で、郡司を中心視する手も大いにある。
今シリーズ一番の注目株は山口拳矢だ。地元戦にはめっぽう強く、昨年は岐阜で開催された共同通信社杯でビッグレース初Vを達成。当所では昨年のこの大会で行われた第117回生ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)を制している。この開催の前は2カ月ほど実戦を離れたのでレース勘には一抹の不安は残るが、G3初Vをホームバンクで飾る場面があっても不思議ではない。
昨年12月広島記念で落車し右鎖骨を骨折した守澤太志。グランプリには出場したものの、鼻の手術で再び欠場が続き2月奈良記念から復帰を果たした。奈良は本調子にほど遠い感じだった上に、全日本選抜でも落車のアクシデントに見舞われた。体調が浮沈の鍵となりそうだ。
攻め口多彩な山田久徳にも魅力を感じる。今年は快調なペースで飛ばしていて、1月奈良、同月高松記念を連覇。2月高知は動きが重かったものの、全日本選抜は着、まくって2勝を挙げていて、スピードが甦っていた。波に乗っているだけに、持ち味の自在戦が奏功なら連がらみが望める。
素晴らしい伸びを披露しているのは園田匠。1月小倉で早々と今年初Vをゲットすると、全日本選抜でも落着と2連対を果たしている。今シリーズの上位陣には九州の自力型が少ない不利はあるものの軽視は禁物。先行目標が見当たらない時でもコースを探しての突っ込みには警戒が必要だ。