エリート街道驀進中の吉田有
G3開催ながら競走得点110点未満の選手が主力。しかも売り出し中の若手自力型が多く、優勝の行方は混とんとしている。そんな中、今年は早くも3回の優勝をすべて3連勝で飾っている吉田有希の戦歴はひときわ光る。吉田は昨年9月にS級特進を果たすと、11月平塚から12月西武園まで3連覇。ビッグレース初参戦のウイナーズカップでも2日目に敗者戦ながら逃げ切って1勝を挙げている。航続距離が長い自力攻撃には素晴らしい破壊力があり、今シリーズのメンバーならG3初Vのチャンスだ。山岸佳太、朝倉智仁も自力基本の競走だが、吉田との連係が叶うようなら前を任せよう。最近の山岸は動きがよく、4月川崎記念1516着の一次予選ではロングまくりを決めて押し切った。吉田が主導権を握り番手無風の展開なら単望める。朝倉は2月高知G3で落車、以後は欠場が続いている。体調が浮沈のカギとなりそうだ。
評価が難しいのは鈴木庸之だ。ビッグレースの常連で一昨年の競輪祭では決勝に乗っているが、昨年10月の寬仁親王牌の3日目から欠場が続いている。半年間も戦線離脱しているので、底力は認めても中心視はしにくい。出走の際には初日の動きを見てから再評価するのが賢明か。
吉本卓仁、島田竜二の九州勢も好勝負が見込める。今年はまだ決勝では結果が出ていない吉本ながら伸びはいい。3月名古屋記念では1813着と2勝を挙げているし、F1戦では連勝での優参が3回あり、勝率は55・5%を誇っている。スピードを生かしたまくりは威力抜群で、仕掛けがツボにはまれば首位に躍り出ても不思議ではない。島田も近況はまずまずだ。目標をつかんだときの捌き、差し脚はしっかりしている。吉本次第では連に浮上してこよう。
北日本勢も戦力は整っている。木村弘、嵯峨昇喜郎の地元コンビに中田雄喜。ランクは2班の木村ながら実力は1班中堅クラス。1月立川記念で決勝に乗ると、2月伊東、3月岸和田では準決で勝ち星をゲットしている。嵯峨も最近の動きは悪くない。4月大垣では142着と2連対、予選は隅田洋に勝っている。仕掛けどころは心得ているので、好連係を決めて北日本勢から優勝者が出る場面もありそうだ。
攻め口多彩な阿竹智史にも魅力を感じる。3月大垣記念の準決で落車したものの調子に問題はない。同月前橋の準決2着は上がり9秒4の宮本隼の快速まくりに4分の1輪まで肉薄すると、4月平塚記念の一次予選では小川真のまくりを差し切っている。中四国勢は上位級の自力型が少ないので先頭で戦うレースが多くなりそうだが、自力も健在なので不安はない。うまくレースの流れに乗れれば勝ち負けに持ち込める。福島武士が阿竹とタッグを組む。4月平塚記念の一次予選、同月岸和田と予選を連勝していて差し脚が冴えている。四国ワンツー決着は考えておきたい。