豪脚誇る脇本雄が主役
トップスピード、ダッシュ力、持久力と3拍子そろった脇本雄太の自力攻撃は桁違いの破壊力だ。ジャン前から飛び出して別線を沈黙させる圧巻の先行、別線の2段駆けをものともせずに飲み込む豪快なまくりで勝ち星の山を築いている。2回目のダービー優勝を飾るなど、今年は早くも7Vを達成。勝ち星は28勝を挙げていて、勝率はジャスト8割という驚異の数字を誇っている。地元記念での成績も抜群で、64、65、67、68、70周年と5V。もちろん基本は自力勝負だが、67周年の決勝は野原雅也の逃げに乗っての番手まくりで優勝をゲットしている。寺崎浩平は欠場になったが、メンバー構成次第では、その野原や小森貴大らに前を任せての番手戦もありそうだ。いずれにせよ、脇本の優位は揺るぎない。
今年は素晴らしいペースで飛ばしている古性優作。高松宮記念杯では、全日本選抜に続き今年2つ目のG1優勝をものにした。“自転車との一体感がない”と5月宇都宮記念、同月佐世保全プロ記念競輪での動きは重かっただけに、修正能力はさすがという他はない。昨年のオールスターでは脇本の逃げを差してG1初V、ダービーの準決でも脇本の逃げを交わしている。また、当所記念は昨年の覇者でもある。脇本の地元戦とはいえ、援護役だけにとどまらない。
近畿勢が圧倒的な戦力を誇っているだけに、他は厳しい戦いを強いられそうだが、SS班の清水裕友は意地を見せたい。高松宮記念杯着。好調時のような軽快な動きではなかったものの、最終日は上がり10秒8の超速まくりを決めて白星締め。SS班の貫録を示した。強力近畿ラインを相手にどのような戦いを演じるのか興味深い。清水には西日本スジで中本匠栄が続くか。
もう一人のSS班である宿口陽一は体調が気になる。今年は一息不足の場所が続いていたが、高松宮記念杯の東初日特選では、逃げた吉田拓を早めに交わした平原康を抜いていて、伸びが戻ってきていた。しかしながら、東準決で落車し最終日を欠場。初日の動きに注目したい。関東勢では吉澤純平も侮れない。6月取手記念着では嬉しい地元Vを飾ると、高松宮記念杯の一次予選は、眞杉匠の逃げを差し切っている。好位置を占めると連浮上も。
波乱を呼べば松井宏佑、内藤秀久の神奈川コンビに鈴木裕とそろった南関勢か。松井はトラック短距離の強化指定「A」選手で、トップスピード、ダッシュ力には素晴らしいものがある。競技中心のスケジュールなので競輪参戦は少なく、ダービーが5場所目だったが、随所で自慢のスピードを猛アピールしている。脇本を相手にどこまでやれるか注目される。