短走路を舞台に短期決戦
持病の腰痛の影響で、なかなか本調子を取り戻せずにいる脇本雄太ながら、昨年は輪界初の3億円レーサーとなった底力は断然上位。4月武雄記念で4連勝を達成すると、ダービーでは連覇は成らずも二次予選、準決を圧勝している。特に準決で犬伏湧を叩いて先手を奪うと、上がり10秒7の好タイムで逃げ切り、後続の古性優をまったく寄せ付けなかったレースは圧巻だった。包囲網を敷かれてもトップスピード、航続距離、加速力と3拍子そろった脚力で突破する。昨年に続き全日本選抜を連覇した古性優作は、相変わらず俊敏な立ち回りを披露している。3月大垣記念❷着、ウィナーズカップは決勝進出。その後は1カ月半実戦から離れたが、ダービー❺着の走りは影響を感じさせなかった。脇本の仕掛け次第では逆転望める。近畿勢では三谷竜生も動きはいい。ダービー着の二次予選では、脇本と近畿ワンツーを決めている。
総合力なら北日本勢もかなりのレベル。グランドスラマーの新田祐大をはじめ新山響平、佐藤慎太郎、成田和也とそろっている。新田はダービー着。特選、二次予選はやや積極さに欠けた印象だったが、3、4走目は快速まくりを出していて、調子そのものに問題はなかった。ダービーで動きが際立っていたのは新山だ。❻着と決勝に進出、特に準決で眞杉匠に先手を許さずに逃げ粘ったレースは素晴らしかった。佐藤もダービーでは決勝3着と気を吐いていて、新山が好機に仕掛けて主導権を握れば、北日本勢が優勝をさらう場面は大いにあろう。
この大会と相性がいいのは松浦悠士だ。20、21年とスーパープロピストレーサー賞を連覇すると、昨年は3連覇は逃がすも準V。ただ、4月武雄記念の準決で落車した後遺症があったのか、ダービー着の動きは物足りなかった。ウィナーズカップを制した時のような調子に戻れば好勝負に持ち込める。対照的に清水裕友は、ダービーでは力強い走りを披露した。準決では最終的に主導権を握った深谷知をまくりで仕留めると、決勝は犬伏湧の逃げに乗っての番手まくりで準V。惜しくも8分の1輪差で優勝は成らなかったものの、躍動感に溢れていた。
注目を集めるのは、ダービー王に輝き、タイトルホルダーの仲間入りを果たした山口拳矢。ダービー❶着。G1開催で初めて決勝に進出すると、決勝は鋭い嗅覚を発揮。単騎ながら先制した中四国勢を追走し、直線で差し脚を伸ばして突き抜けた。豊かなスピード、レースセンスには魅力を感じる。
本来なら有力なV候補のひとりである郡司浩平だが、ダービーの準決で落車し右肩甲骨を骨折。日数的にここは厳しいか。