宮杯連覇に弾みつけるV
大挙5人が勝ち上がった近畿勢。古性優作、脇本雄太がわかれて、それぞれ先頭の3対2のラインができあがった。
「普段、ラインを組んで頑張る選手と別でしたし、いつもとはまた違った緊張感のなかで走れたかなと」
こう振り返った古性だが、勝利に対するあくなき追求は変わることはなかった。脇本を押さえた新山響平が主導権。単騎の松浦悠士を前に見る形で、古性は4番手を確保した。が、最終ホーム手前で松浦が早めのスパートに出た。わずかではあったが、古性の反応が遅れた。
「自分も道中は余裕がありました。ただ、詰まってしまったんで、車間を切って助走をつけないとまくれないなと。その時に松浦君が行ったんで、ちょっと立ち遅れた。ギリギリセーフというか新田(祐大)さんにちょっと入られたのでヤバかった」
最終2コーナー手前、新田にスペースができたが、それを補って余りある加速力で古性がまくっていく。
「(最終3コーナー過ぎに松浦に当たられて)苦しかった。スピードも落ちてましたし、結構苦しかった。もう(優勝は)稲川(翔)さんかなって思ったら、まさか粘れたかなって感じですね」
松浦との攻防を制した古性が、稲川の追い込みを4分の3車輪、退けた。東口善朋まで引き込んで、ラインでの上位独占。東口の苦しい胸の内をおもんばかり、古性が責任を果たした。
「東口さんがどっちに付くかって選択で、苦しい思いもさせてしまった。ワンツースリーだったんで、僕に付いてくれて良かったなって思ってもらえていれば、うれしいかなって感じですね」
北日本のSSコンビ、そして別線の脇本を撃破して、2度目のスーパープロピストレーサー賞を制覇。ケイリンにエントリーをしている29日の全プロ競技大会を終えると、いよいよ連覇がかかる高松宮記念杯(6月13日から)が待っている。
「筋肉の状態を上げていくのも1つなんですけど、乗り方的にまだ2月くらいに出ていた一体感が出ているわけではない。そこをしっかり上げていけるように頑張りたいと思います」
古性マークの稲川翔は、もつれた前の2人のあおりで最終2センターで外に膨れた。それも影響して2着まで。
「(古性を)抜きたかったですけど…。昨日(初日)離れているんで、それが頭にありすぎて余裕がなかった。松浦と古性の踏み合いになって前を見すぎた。そんなつもりではなかったんですけど、追走に専念してしまった。ただの言い訳になりますけど。(古性)優作を抜けるようになれば、もっと信頼をしてくれると思う」
脇本は不発で古性ラインで上位を独占。分かれた近畿勢の古性ライン3番手を選択した東口善朋は、こう振り返る。
「(脇本、古性)どっちに付くかは、賛否両論があると思います。結果、ワンツースリーが決まったんで良かった。33バンクだったし、(最終)3コーナーののぼりはキツかったですね。新田君とも併走しかけたのもあったし。ただ、自転車の流れ方、体の使い方がマッチして、必死ではあるけど、力が抜けて走れている。感触的には悪くなかったです」