波に乗っている阿部将
高松宮記念杯直前の開催のためトップクラスは少ない。そんな中、阿部将大の戦歴はひときわ光る。4月高知記念1❶着、決勝は清水裕、深谷知、新山響、佐藤慎らのSS班をまとめて撃破する大金星をあげると、続く同月別府では3連勝を達成。決勝は犬伏湧の逃げをまくりでねじ伏せた。更にダービーは一次予選で2着と好走するなど、高知記念のVがフロックではないことを示している。持ち味の自力攻撃には、一段と磨きがかかった印象だ。今シリーズも機動力を遺憾なく発揮して主役を演じる。大塚健一郎、中川誠一郎が阿部を盛り立てる。欠場が多く、順調さを欠く大塚だが、4月富山の準決は上田尭の逃げを差して勝つなど、好展開が巡ってきた時は結果を出している。中川もウィナーズカップで落車し、2場所を欠場していて、今も好調と言える状態ではない。しかしながら、スピードには素晴らしいものがあるので、軽視は禁物だ。
今期は初めてS1班に昇格した渡邉雅也も好勝負が見込める。最近は優参率がアップしているし、5月小倉では、待望のS級初Vを手にしている。小倉の決勝は、単騎ながら先制した九州勢の3番手をキープすると、最終バックから切れ味鋭いまくりを放ったレースは、センスの良さを感じさせた。南関勢では野口裕史も侮れない。重戦車を彷彿させるパワー先行は迫力満点で、5月武雄記念では1着と2勝をあげ、続く小田原は❶着と逃げ切って昨年10月以来のVを飾っている。目標には困らない近藤保もここはチャンス。5月西武園では初日特選を勝ったように、差し脚の伸びは申し分ない。
関東勢も菊池岳仁、橋本壮史と先行型はそろっている。今期は一息不足の場所が続いていた菊池だが、4月松山2❺着、5月取手❼着、同月函館記念は準決進出とやや上向いてきた印象だ。橋本は準決を乗り切れない場所が目立つものの、4月福井、5月大垣はいずれも初日特選で2着、随所で好走している。しっかりしたラインが形成されるようなら侮れない。
坂本貴史、菊地圭尚、櫻井正孝と地元地区の北日本勢も戦力は整っている。ダービーは振るわなかった坂本だが、5月武雄記念では予選を2、3着で準決にコマを進めていて、動きは悪くない。一昨年のこの大会を制覇した実績があるので、ここは割増しの評価が必要だろう。好位確保から自力を出せれば、勝ち負けに持ち込んでも不思議ではない。地元の菊地は、当所には5月に参戦したばかり。着と不本意な結果に終わっただけに、今回は汚名返上を期して気合が入る。
久米康平、福島武士、片岡迪之の中四国勢も差はない。久米はダービー着、5月当所記念7着、確定板入り3回と気を吐いたし、片岡もダービーでは一次予選で2着と好走した。展開がもつれるようだと、一発があってもおかしくない。