ダービー王・吉田拓が凱旋

吉田拓矢

眞杉匠
ダービー王の称号を得た地元の吉田拓矢が優勝候補の筆頭だ。今年は初戦の1月立川記念で落車し鎖骨を骨折。いきなり約1カ月半の欠場を余儀なくされたものの、欠場前よりも力を付けてバンクに戻ってきた。全日本選抜で決勝に乗ると、3月玉野記念は単騎ながら豪快なまくりを決めてV。さらにダービーの決勝では、連係実績の豊富な眞杉匠のまくりを差し、21年の競輪祭以来となるG1制覇を達成した。ここはダービーでタッグを組んだ眞杉をはじめ、杉森輝大、佐々木悠葵らと関東勢は充実のラインナップ。昨年に続いての大会連覇に向けて視界は良好だ。眞杉は快調そのもので、ビッグレースで大活躍。全日本選抜では準決1着で決勝に乗ると、ウィナーズカップ、ダービーは続けて準V。ウィナーズカップは快速まくりを放つも、古性優の鮮やかなブロックに止められた。ダービーも直線で菅田壱と接触していて、ともに悔しい結果に終わったとはいえ、どちらも勝っておかしくないレース内容だった。地元の5月宇都宮記念は、準決で無念の1失を喫したが、評価を下げる必要はあるまい。また、地元勢は吉田拓、杉森だけではない。兄とは違う徹底先行として信頼を集める吉田有希。ガッツマーカー芦澤大輔、辰弘兄弟。宇都宮記念で3勝と古豪健在を示した武田豊。さらに木村皆斗、小畑勝弘の機動型。それぞれの持ち場で力を発揮して大会を盛り上げる。
だが、南関の絶対エース・郡司浩平の追加参戦で関東勢独走ムードに待ったがかかった。郡司は5月平塚記念で今年4度目の記念制覇。平塚の優勝は深谷知の先行に乗ったものだが、自力で戦っても強くて全く隙が無い。ここは松井宏佑や佐々木眞也と同乗なら前を任せて記念3連覇を目指す。松井はダービーの準決で郡司の前を回って自身は3着も不完全燃焼のレースに終わったので、平塚記念での落車の影響がなければ奮起の走りが期待できる。和田健太郎も神奈川勢に加勢して南関ラインをより強固なものとしよう。
注目株は藤井侑吾だ。ダービー着。一次予選は内に詰まってしまい、まったく力を出せずに終わったものの、2走目以降は機動力を遺憾なく発揮して3連対を果たしている。中部勢はライン手薄の不利はあるが、しっかりしたラインが形成されるようなら怖い。
山崎芳仁、佐藤慎太郎、成田和也と百戦錬磨のベテランがそろった福島勢も侮れない。佐藤はまだ落車負傷の後遺症が残っているようだが、山崎、成田は順調で、ダービーでは準決に駒を進めている。