検車場レポート
山田 英明 佐賀 89期 |
赤板手前で誘導を降ろした山田英明は、京都コンビを受ける。稲垣裕之が先行態勢を取って、山田が3番手で平原康多は真っ中団の5番手。一本棒の7番手に置かれた山中秀将は、稲垣がペースを上げる前の打鐘の3コーナー過ぎからアタック。稲垣を叩いた山中に中村浩士まで出切って、3番手に稲垣が飛び付くが和田健太郎がキープする。最終2コーナーからのまくりで千葉トリオに襲い掛かった山田が、直線で抜け出して無傷の3連勝を遂げた。
「平原君の前(の位置)で自力でを出して勝負をするっていうことを考えていた。自分のなかではいいレースができたと思っています。(昨年6月の高松宮記念杯以来のGI決勝で)去年、そのあともずっと決勝に乗りたかった。乗れると思って信じてやってきて、今年一発目のGIで乗れたんで自分を信じてよかったです。決勝はしっかり(優勝を)狙って、そのなかで自分のレースをしたい」
稲垣は千葉勢の3番手に飛び付くも、さばかれて後退する。4番手に下がってきた稲垣の後ろの村上博幸は、まくりの山田が横を通過すると渡部哲男を弾いてスイッチ。外を伸びた。
「(最終)2コーナーで稲垣さんが和田君をもっていった時に接触して、1回踏み込むのをやめた。そのなかで伸びたんで、(調子は)悪くない。でも、踏んだ瞬間はアタマまで見えた感じがした。大宮記念(決勝2着)もそうだけど、その差が大きいんですよね」
最終バックでは予想だにしない8番手。万事休すかに思われた平原康多だったが、3コーナーから踏み上げる。直線では神業のハンドルテクニックで猛襲して、薄氷を踏む思いの3着で全日本選抜連覇に望みをつないだ。
「まったく予想していない展開だった。ジャンのところは悩みました。自分が先にカマそうかと。そう思っている時に山中がカマして来た。稲垣さんが(山中を)合わせられるようだったら良かったけど、行き切られて苦しかった。もう誰がどこにいるかわからないような感じだったし、隙間を縫って誰にも当たらないようにと思っていた。あれは日ごろ出せる業ではない。人気にもなっていたし、あきらめない姿勢をと思った。なにもできず後方に置かれたレースになったんで意地ですね。ただ、武田(豊樹)さんには申し訳ない」