検車場レポート
山崎 芳仁 福島 88期 |
前で構えた片折亮太は、赤板で誘導との車間を大きく空けて6番手の竹内雄作の反撃に備える。タイミングをうかがっていた竹内は、1センターから大外を山降ろしで踏み込む。突っ張る片折をねじ伏せた竹内が、主導権を奪って逃げる。番手の北野武史が懸命に続いて、中田健太のブロックを受けながらも東口善朋、神田紘輔までの4車が出切る。前が遠い7番手の山崎芳仁だったが、最終2コーナー手前から踏み込んでスピードに乗せ前団に襲い掛かる。直線に入って竹内を射程にとらえた山崎が、ゴール寸前で交わして1着。
「(けん制した)中田君がどこまで行くのかって、そこでバックを踏んだ。(中田が)片折を入れてから、ちょっとして自分は踏んでいった。もう(逃げている竹内は)見てない。とりあえず行けるところまでと思ってた。それで3、4番手くらいまでいけば、あとはツケマイでと。そしたら思ったより伸びましたね。初日も大敗したけど、体の反応がいいからジャンで切れた。調子のいい証拠だし悪くない。(大槻寛徳と)初日に8、9着したぶん、一緒に乗れてよかったです」
竹内に食らいついた北野だったが、最終4コーナーではもういっぱい。北野が遅れ出し、ひとりで押し切りを図る竹内雄作が最後は山崎につかまった。
「(仕掛ける)タイミングをつかめなくて、(片折と)踏み出しが合ってしまって怯んでしまった。あれがすんなり流れていたら、ラインでうまくいったかもしれない。それに山崎さんの強襲もなかったかもしれない。(前回のオールスター)で長い距離を踏んでないのが出ているのかと。ただ、2日目、3日目とジャンからイケてるんで、それがいい方に出ればと思います」
山崎を追走した大槻寛徳は、竹内を交わせずも流れ込んで3着。大粒の汗をぬぐい、ホッと一息つく。
「北野さんが(最終)4コーナーから離れたおかげ。あれがなかったら山崎だけは届いても、俺は届かなかった。自分はなにも言うことはない、山崎の一発が出ただけ。山崎はタイミングも良かった。ここで行ってっていうところで踏んでくれた」
「いい勉強になりました」とは、シンガリに沈んで前回の富山に続く記念優出がかなわなかった片折亮太。竹内との脚力差を痛感する。
「自分としては突っ張るつもりだったんですけど、一瞬の隙を突かれた。脚負けです。ただ、いい刺激になりました」