不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第124回 スーパーカーに魅せられた  2021年5月23日

 千葉競輪場で行われた全プロ記念。スーパープロピストレーサー賞の一発レースで優勝し、賞金250万円を手にそのまま千葉県流山市にある超有名某スーパーカーショップへ行きフェラーリ512TRを押さえる為、手付金を置きにいき自身初のフェラーリオーナーになりました。私の購入した512TRは1992年式のディーラー物、走行距離は2,000キロ。雨天未使用のコレクターさん所有の超極上車!惚れ惚れする程の車でした。念願のフェラーリオーナーになると絶対に行きたい場所がある!それは御殿場にあるフェラーリ美術館までのドライブと毎年行われている(フェラーリ・ブランチ)だ!それは毎年春先に全国からフェラーリオーナーが集結する夢のような一日!そしてそのブランチを知るスーパーカー乗り、ギャラリー達が大勢集まるので、その日の御殿場は金銭感覚が麻痺確実なバブルの極み!私の心理的範囲も夢も広がりましたし(欲望はやる気の源!)だと言うことも実感しました。
 人生は一度きり、人間我慢も必要であるが目標を達成したらご褒美も必要!私はそれをずっと繰り返して来たのです。なのでそれはG1タイトルと一緒で一度取るとそこで満足する事なく次へ次へと意欲が重なっていく。達成したら次は、、、。私の現役時代は常にギラギラしていたように思います。誰も耐えられない苦しい練習!と痛みを乗り越えた先の栄光。そして自分へのご褒美。そのシステムは酷使した体に栄養とケアをする事と一緒の事!精神面と肉体面も一緒!このタイミングの良いときはどんなときでも勝てました!なので車も次から次へと入れ替えられましたから、私の全盛期は脳内が幸せホルモンで満ちあふれていました。そして車はダメなら売ればいい、、。その執着のないサッパリした気持ちが変なプレッシャーにならなかったのだと思います。
 フェラーリ512TRは今思うとまた乗りたくなるくらい魅力のある車でした。5速MTでしたから緊張したのが(坂道発進)!フェラーリがエンストするなんて、こんなにカッコ悪いことはない。当然、最初の頃は坂道を避けて走っていましたが(笑)今後ブランチなどの集会に行くことも考えてホンダ・シビックのMT車を購入してシフトチェンジの練習をした思い出もあります。走れば走る程楽しいフェラーリは何と言ってもマフラーから奏でる排気音と匂いがアドレナリンを刺激して興奮状態に、、。そして降りて車体をみると非現実的な流れるような美しいフォルムにセロトニンが分泌されてフェラーリは乗っても降りても楽しめて、脳も刺激される生きていく中でもスーパーカーはただの車ではない要素があると思います。便利な車は確かに日常は必要だがそこまで気持ちを高ぶらせてはくれない。しかし不便極まりないが、私にとってスーパーカーとは他の選手より苦しみを乗り越え、その先へ導いてくれる魅力があった!勿論、家族の次だが、あのときめきは生きている喜びや実感できた瞬間でもあった!スーパーカーブームを少し経験した私が本当にスーパーカーを手に入れ頑張れた事を幸せに思います。

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