不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第26回 アウタートップが軽く感じた  2018年8月22日

 西湖のロードレースもいよいよ終盤!俺は訳も分からず、周りの選手達の真似をして前ギヤを外側に、後ろのギヤも徐々に外側にしていきました。当時のロードレーサーは今の最新型とは違います(現在はブレーキレバー連動型)。俺世代の人は懐かしいと思うかもしれませんが、ギヤのレバーが下パイプに付いていて、中々しっかりとギヤにチェーンが噛み合ってくれないのです。しっかりと噛み合っていない状態で思いきり踏めば、ガーガチャッガッチャーンとチェーンが外れそうになってしまうから、思いきり踏み出せないのが歯がゆいし気持ち悪い。
 そんな事をしているうちに「あ~めんどくせぇ~」とギヤを前後とも一気に外側にしました。自転車用語でアウタートップと言います。ギヤ比でいうといくつなのだろう?ゆっくりな回転だけど、一踏み一踏みが相当進む!集団の中で脚を溜めていた俺は、アウタートップで重たいから立ち漕ぎをする!すると更に自転車が進む!他の選手より体格も良く体重もある。立ち漕ぎしてペダルに体重を乗せるだけてグイグイ進むんです。コーナーを抜けたら長い直線が見えました。何人もの選手がラストスパートとばかりにアタックをかけ始めました。俺も行ったるかぁ!立ち漕ぎで脚を上に引き上げて体重が移動した途端、恐ろしい程、自転車が伸びたのを感じました。快感でした!あんなに重たく感じたアウタートップが正確に体重を乗せ替えるだけで軽く感じ、自転車の機械効率と体の一体感で自転車は進む!と感じた貴重な瞬間でした。

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