第71回 吉岡稔真選手の存在に奮い立つ 2019年8月17日
同期の吉岡稔真選手の桁違いな強さを見せつけられた私は、羨むとか僻むとかそんな事ではなく、ただ呆気に取られ開いた口が塞がらないといった状態でした。彼の強さは増すばかり、「何であんなに強くなったのか?」「どんなシステムで踏んでいるのか?」彼のいない検車場で彼の自転車をコッソリまたがってみても、自転車自体のセッティングにはこれといって目立つ推進力や軽い所は見られない。むしろ重い印象でした。ならばやはりエンジンとなるアイツの身体や練習量で作り上げたものなのか?どれだけの練習量とどれだけの苦しみを乗り越えればあそこまで登り詰める事が出来るのだろうか?
私はそれから更に苦しみを追求する世界に入り込んで行きました。毎日、吉岡稔真選手を頭の中に思い描き、山登りも限界に近付くと吉岡稔真選手を思い浮かべて気を失う程追い込んだ日々もありました。時には車で帰れない程追い込んでしまい、妻に迎えに来て貰う事もありました。吉岡稔真という存在が私の前に無かったとしたら、高校時代に全国制覇をし、日本競輪学校へも技能免除で入学し、トントン拍子で若鷲賞に輝きS級に昇格。そこで普通ならば内心「まあまあやれている方だ!」と満足をしてしまい、いつのまにか埋もれてしまっていたパターンだったと思います。しかし、突然現れた素人同然の吉岡稔真選手の存在に私は奮い立ち、設定ラインがグンと上がり高みを目指せる目線になった事は間違いありません。私の幸運は若いうちに絶対に負けたくないハイレベルのライバルを得た事にあったと思います。私がS級シリーズを優勝しても、彼は軽くG3やG2やG1を優勝してしまうレベル!私自身がちっぽけに感じてしまう。満足している場合ではないと常に自分自身を追い込んで行けたのは、ハイレベルな同期生に恵まれたおかげだと思います。