• 第69回日本選手権競輪3/8〜3/13

日本選手権

浅井康を中心に迎え撃つ中部勢

浅井康太

浅井康太

新田祐大

新田祐大

平原康多

平原康多

  •  今年2度開催されるダービーの第一弾、「第69回日本選手権(G1)」が、名古屋競輪場を舞台に3月8日に幕を開ける。もっとも権威のあるタイトルをかけて、162人の精鋭が激戦を繰り広げる6日間は見逃せない。また、5日目にはガールズコレクションが一発勝負で行われる。

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インタビュー

  • 深谷
  • 知広
  • 本当の完全復活へ向け

  •  「完全にくるってる。反省点しかないですね」
     6696着。誰もが予想し得なかった結果となってしまった深谷の全日本選抜。昨年12月伊東から記念3連覇と意気揚々と乗り込んできた姿は、3日目に一時は途中帰郷を示唆するほどボロボロとなってしまった。
     1月大宮記念で「G1で勝てるように。まずは全日本でも結果が出せるように」。続く高松記念でも「まずは次のG1に向けて。G1優勝できるように、また一戦一戦頑張ります」とG3で優勝しても満足せず、G1で優勝してようやく完全復活であることを深谷自身が一番理解していた。それだけにこの敗戦のダメージからどこまで心とバランスを回復できるか。
     「このあとは石垣島で合宿もありますし、直前には名古屋で合宿もあるんで。今回ダメだった原因をこれから確かめて、短期間で修正して何とか戻して。地元のダービーに合わせていきます」
     G1で再び輝く深谷の姿を多くの競輪ファンが待ち望んでいる。

  • 村上
  • 義弘
  • あの名古屋で4度目を

  •  「日本選手権は何回勝ってもいいもんですからね」
     11年の名古屋、13年の立川、そして一昨年の名古屋でダービーを制覇。3度目のダービー王に輝いた名古屋での“お立ち台”、優勝インタビューでは、ファンの激励が村上の心を揺さぶった。
     「SS11の時は自分たちの思いがうまく伝わらなくて、それを(ダービーの決勝の)レースで伝えられたっていう思いがした。それに対してファンのみなさんの熱い、深い反応があった。あらためて自分の中で競輪っていうものが強くなった。自分の競輪人生の中でも、大きなレースだった」
     舞台はまた名古屋に戻ってくる。
     「高松記念も全日本選抜も数字的なもの以上に動けている。全日本選抜で言えば、初日は稲垣のまくりに余裕をもって付いていけた。現状、戦える脚になっている。日本一を決める大会だし、自分ではそういう位置づけ。そこに向けて」
     日本一の座をかけた6日間。村上の強い思いが走りとなって、新たなドラマを生み出す。

  • 新田
  • 祐大
  • 連覇へ向け、まずは決勝進出

  •  全日本選抜では優勝はならなかった。それでも金縛りにあったように動けなかった昨年の寬仁親王牌決勝の悪夢を自らの走りでふり払った。
     「全日本選抜に入る前に目標に掲げてたのは、ひとつ目が自分が決勝に乗ること。そしてふたつ目は自分も含め、誰か北日本から優勝者を出すことだった。寬仁親王牌の失敗がなければ、また同じ形になってたでしょうね。今年は生かせたと思う」
     状態も万全ではなかった。「仕上がりが早すぎて、限界を超えてしまった」。全日本選抜直前に怪我をしたことで、あらためて調整の難しさも味わった。
     「今はダービーに向けて調子を合わせている最中。そういう意味では早い段階でのミスでよかった。リオオリンピック出場(の可能性)も僕はとっくに終わってる。これからは競輪に集中する形になる」
     今回は連覇をかけての参戦。「そこを意識するより、まずは決勝に乗ること」。昨年はG1優出3回で2回の優勝。高い勝率を生かすためにもまずは決勝進出だ。

  • 金子
  • 貴志
  • 再び大舞台で頂点へ立つため

  •  昨年はダービー、寬仁親王牌で優参と安定した成績を収め、賞金ランキングでも好位置につけていたが、8月サマーナイトで落車し恥骨、挫骨骨折。約2カ月棒に振ってしまった。しかし復帰後はV字回復でグランプリ出場こそ逃がすも、12月広島記念を優勝という形で締めた。
     そして勝負の16年最初のG1となった全日本選抜では、準決勝で竹内雄作と共倒れに終わるも2連対。二次予選では脇本雄太の走りに尽きるものの、きっちり差し切り「落ち着いていたし、脚の感じもよくなってきている」と手応えを感じていた。
     「ダービーまではまだ時間もありますし、もう少し上積みして仕上げていきたいですね。直前には支部合宿もありますし、集中して良い緊張感の中で練習していきたいと思います。中部で結束して頑張っていきたいです」
     不惑を迎え選手として円熟味を増した金子が、グランプリ王者に輝いた2013年の輝きを、地元で再び取り戻す戦いへ。

  • 山崎
  • 芳仁
  • 悲願のグランドスラムへ

  •  「どうなんですかね? チャンスはチャンスかな」と山崎は話す。今年は今大会も含めてダービーは2度開催される。渡邉一成が全日本選抜を制すなど北日本のムードは最高潮。史上4人目のグランドスラムへ、今年は最大のチャンスだ。
     「後輩が頑張ってるし、僕たちも頑張らないと。平記念の前に熱が出たけど、終わってからは体調も戻って今はいい感じ。全日本選抜でも体は動いてたし、ダービーまでにもっと上げたい」
     今年はここまで自力で戦ったのは平記念の優秀、準決勝の2走だけ。「(人の)後ろの番組が多い」と話すように、今の北日本の選手構成を考えれば山崎が番手を回るレースはどんどん増えるだろう。「それに合わせてセッティングもいじってる。まだ全然だし、上手く出していければ」。山崎の全冠制覇へは、番手での対応力が必要不可欠になってくる。
     「まずは決勝に乗らないと始まらないし、そこに向けて一戦一戦、調子と気持ちを高めていきたい。決勝に乗ったら狙いたいと思います」

  • 浅井
  • 康太
  • 中部の軸として責任を自覚

  •  1月大宮記念で「今年の目標は一走一走貫くことです。自分のスタイルを貫けば、それが優勝に繋がっていくと思うので」と語った浅井。それはG1、全日本選抜でも変わることはなかった。
     そして浅井がもう一つ今年のテーマに掲げているのが中部の絆だ。
     「準決は出し切れずに終わって悔いが残るけど、任せた結果なんで。最終日は自力で勝てたし、自力でやればあれくらいは。前を回るのであればしっかりと仕掛けないと。後輩たちにも脚があるところを見せられた。自分も勝ちたいけど、勝ちたい勝ちたいじゃダメなんで。それを感じ取ってくれれば」
     グランプリ王者という立場が浅井の意識をより高いレベルへと引き上げようとしている。中部の軸として、ライン重視の競走を今後も続けていく。それが中部全体の底上げになり、自身のG1制覇へと繋がると信じて。
     「地元地区ということは特に意識はしないです。自分は自分の競走をするだけなんで。去年のダービーは3着だったので、今年は優勝できるように」

  • 吉田
  • 敏洋
  • 積み上げたものを出す

  •  「6月までは気が抜けない」。吉田はこう話す。今年は地元、名古屋で2度のG1が開催される。その第一弾が第69回の日本選手権競輪だ。
     全日本選抜は8173着。「自分としてはもうちょっと成績を求めたかった」。番手が粘られる不運もあり、一次予選で敗退したが、「調子は悪くなかった」とシリーズ4日間を振り返る。
     「最近は練習でも中心的な感じでやらせてもらってる。その責任感もあるし、結果も出てきてモチベーションは上がってきてる。ここ半年はレースでもやってやろうかなっていう気になってるし、充実してます」
     ただでさえ気持ちの入る地元戦。それがG1ならなおさらだが、「最近はプレッシャーも楽しめるようになってきた」と笑顔で話す。「この歳になってガチガチになってだめでした、ではね。今は自分のなかでしっかりした部分があるし、積み上げたものが最後に出ると思う」。この言葉を信じて、吉田は一戦、一戦勝負する。

  • 神山
  • 雄一郎
  • 手応え感じ焦りはない

  •  88年のデビューから28年目のシーズンをSS班で迎えた16年。立川記念、大宮記念、そして今年最初のG1全日本選抜を終えて、まだ勝ち星を挙げることができていない。
     「(グランプリが終わって)疲れがあるのかなっていうのがある。それに今は自転車とかも見直している状態だからね」
     全日本選抜8723着。帰り支度を始めながら神山がゆっくりと口を開く。
     「段々感じがつかめてきたし、徐々に良くなってきている。(前半の)2日間は着が大きかったけど、後半2日間は着もそうだし、いい感じでレースができた」
     2着も8分の1輪差まで吉澤純平を追い詰めた3日目に「だいぶ生き返ったかもしれない」と、明るい光が差した。
     全日本選抜から本番のダービーまではすでに1カ月を切っている。が、神山に焦りは感じられない。
     「(全日本選抜に)間に合わなかっただけで、感じ自体は良かった。なんとなく方向性が見てきたし、これからいいかなって思う。段々とかみ合わせていきたい」

  • 武田
  • 豊樹
  • 第二章の幕開け

  •  高松宮記念杯、競輪祭、G1を2Vの昨年は平原康多との息の合ったコンビプレーが冴えた。瞬時の判断が求められる番手での立ち回りで、ファンに鮮烈なインパクトを与えた。
     「昨年はほぼ番手戦になって、僕自身も考えるところがあった」
     16年のG1幕開けとなった全日本選抜。常々、武田が課題に上げている自力と番手の両立を求められる4日間だった。
     「(自力と番手の)切り替えがなかなか難しい。うまく気持ちのコントロールをしてやってきたい。自分の中では脚力が弱っているわけではない。(今年は)初戦を落車してつまずいたけど。ここが終わったらもう日本選手権なんで。そこに向けてしっかりと」
     2度目のダービー制覇を見据えて、武田がその胸の内の決意を語る。
     「もう先行選手ではない。自在選手としてしっかりと、それを胸に。どんな番組でも柔軟にこなして、なんでもできる選手に。ここから(また新たな)僕の競輪の始まりだと思って。またゼロからの気持ちでいる」

  • 近藤
  • 龍徳
  • 持ってる男がG1初挑戦

  •  自身初のS級1班に昇格した今年は年頭からノリノリだ。2月名古屋では柴崎淳のまくりをとらえてS級初優勝も飾っている。
     「F1でも優勝できたし、今年はいいですね。前次第で、そう多くないチャンスをモノにできてますからね。2班だった去年までは(レースの)見せ方だと思ってた。仕事し過ぎて失敗したり、我慢があったけど、今年からは勝ちにウエイトを置ける。あとは回収するだけです」
     ヤンググランプリをまくりで制し、昨年はサマーナイトフェスティバルで優勝するなど、近藤は“持っている”男だ。G1初出場が地元戦というのも何かの縁だろう。
     「G1初出場が地元。オレ、持ってるんじゃないですか(笑)。今から胸が騒ぎますね。楽しみ。開催が決まったときから、ここに向けてやってきたので」
     シリーズに向けての準備も「僕は運なので。これから1日1個いいことをします」とジョークを飛ばす。初のG1でも飲まれることはない。やってくれそうだ。

  • 平原
  • 康多
  • 見えた方向性とつかんだ自信

  •  今年のG1開幕戦、全日本選抜では初日特選でまさかの内抜き失格。「ファンには迷惑をかけた」と前置きするが、レースは平原らしい攻めの姿勢が出ていた。
     「いつも紙一重のところで勝負してるので、しょうがないですね。状態としてはすごくよかったので悔しい気持ちは余計にある。(初日にまくった渡邉一成が)そのあと優勝でしょ。色んな気持ちがあります」
     それでもG1の舞台で好感触を得られたのがプラス材料。大宮記念からはフレームとハンドルのステムを換え、「イメージどおりのフィーリング。全日本選抜でも自転車の進みがよかったし、方向性は見えた。いい感じ」と胸を張る。
     仕切り直してさあこれから。そんな中、予期せぬアクシデントが襲った。奈良記念で落車。「怪我自体は大したことがなかったけど、腰を強く打ってしまって痛いです。日にちはあまりないけど、しっかりケアをして次のダービーは自分のレースができるように頑張ります」。大事には至らなかったが一転してのピンチ。乗り越えていくしかない。

  • 園田
  • 自分の武器を取り戻す

  •  初のS級S班として迎えた2016年。年頭の立川記念で優出するなど、滑り出しはまずまずに見えたが、ここまで決勝進出はその一度だけ。全日本選抜も準決勝で敗退し、さぞかしモヤモヤしているだろうと思ったが、「完璧に出た」と園田は笑顔で言い切った。
     「ここ最近は自分のよさも出なかったけど、全日本選抜ではよさが出たので。久々にタテが出たので、いかにそれを生かすところに持っていくかが今後の課題ですね」
     要因は年明けから再開した練習だ。師匠の吉岡稔真氏が「現役時代に一番大事にしてた練習」と話すメニューに取り組んだ成果が全日本選抜では出た。
     「師匠が練習を引っ張ってくれる。その緊張感、気持ちに応えなきゃっていうのが強い。全日本選抜でダービーに向けて手応えをつかめたし、もっと上積みができれば」
     もう迷いはない。ダービーの目標も明確だ。「もちろん優勝目指して。今まで僕の車券でハズれたファンに一発で取り返してもらえるように頑張ります」。蘇ったタテの脚で寬仁親王牌の再現を狙う。

ガールズケイリンコレクション

女王小林優が威厳示す

小林優香

小林優香

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