3日制での初代夜王
ビッグ出場は数えること38回。その父、幸徳(52期)さえも成し得なかったビッグ制覇(3日制以上)を、近藤が2度目のビッグ出場であっさり成し遂げた。
「みんなビックリしてるんじゃないですか。(父は)泣いてるんじゃないかと。師匠(鰐渕正利・65期)と一緒に見ていると思います。獲っちゃったよって(笑)」
10回大会までの短期決戦から、3日制に変わって初めてシリーズ。“夜王”の称号をかみ締めるように繰り返し口にしながら、近藤がフラッシュを浴びる。
「ヤンググランプリよりうれしい。夜王っていう冠が。これが11代目ですか。11代夜王っていうのがね」
昨年のヤンググランプリ制覇で、2班ながらも特選スタートのアドバンテージ。その初日特選ではまくった浅井とワンツー。決勝も頼れる浅井とのタッグから、優勝を手繰り寄せた。
「浅井さんのおかげです、本当に。昨日(の準決で落車した)金子さんのこともあったし、なんとか優勝で報告できたら金子さんも喜んでくれると。みんなビックリしていると思いますけど、一番ビックリしているのは自分ですから(笑)」
レースは岡山勢を引き連れ原田の主導権。単騎でまくった小埜の上を浅井も踏み上げるが、不発の小埜のあおりを受けて万事休す。浅井マークから直線の入り口で小埜のインを突いた近藤が、直線半ばで発生した落車事故にも巻き込まれることなく突き抜けた。
「やっぱりG1(優勝)が本当の王者ですから。(今回は)夜のチャンピオンを獲ったんで。来年は名古屋でダービーもあるんで、そこですね。そこを目指していきたい」
強面ながらも礼節を重んじる父とオーバーラップする面持ちに、天性の勝負強さがプラス。ニヤリと笑う近藤が、G1制覇に次なるターゲットを絞る。
最終ホームでは新田は一本棒の8番手。大外をまくり上げるも、時すでに遅く2着が精いっぱい。
「作戦どおりにいったけど、緊張感のある戦いのなかで負けてしまった。自分の力が及ばなかった」
単騎の芦澤は、中部勢の後ろの7番手でじっと我慢。最後は狭いコースを突っ込み3着に入った。
「小埜さんと(位置取りで)バッティングするよりは、自分はあそこで一発にかけた。外を行くのは無理だなって感じたんで、最短を行く形になった」
願ってもない展開も、ビッグ初Vを目前にしてまさかの車体故障。VTRを見ながら4着の岩津が悔やむ。
「形をつくってくれたのに、それをモノにできなかったのは俺の力不足。決まってましたね、アタマだと思ったけど。あれ(接触)で止まってしまった。最後は運がなかったです」