• 函館GⅡ8/21〜8/23

後記 GⅡ 函館 08/21

3日制での初代夜王

近藤龍徳

近藤龍徳

 たくさんの祝福を受ける近藤龍徳選手の体が、函館の夜に仲間たちの手で宙を舞う。
近藤龍徳

近藤龍徳

 ファンへのサインには早くも“夜王”の2文字。表彰式ではこれ以上ない笑顔。

 ビッグ出場は数えること38回。その父、幸徳(52期)さえも成し得なかったビッグ制覇(3日制以上)を、近藤が2度目のビッグ出場であっさり成し遂げた。
 「みんなビックリしてるんじゃないですか。(父は)泣いてるんじゃないかと。師匠(鰐渕正利・65期)と一緒に見ていると思います。獲っちゃったよって(笑)」
 10回大会までの短期決戦から、3日制に変わって初めてシリーズ。“夜王”の称号をかみ締めるように繰り返し口にしながら、近藤がフラッシュを浴びる。
 「ヤンググランプリよりうれしい。夜王っていう冠が。これが11代目ですか。11代夜王っていうのがね」
 昨年のヤンググランプリ制覇で、2班ながらも特選スタートのアドバンテージ。その初日特選ではまくった浅井とワンツー。決勝も頼れる浅井とのタッグから、優勝を手繰り寄せた。
 「浅井さんのおかげです、本当に。昨日(の準決で落車した)金子さんのこともあったし、なんとか優勝で報告できたら金子さんも喜んでくれると。みんなビックリしていると思いますけど、一番ビックリしているのは自分ですから(笑)」
 レースは岡山勢を引き連れ原田の主導権。単騎でまくった小埜の上を浅井も踏み上げるが、不発の小埜のあおりを受けて万事休す。浅井マークから直線の入り口で小埜のインを突いた近藤が、直線半ばで発生した落車事故にも巻き込まれることなく突き抜けた。
 「やっぱりG1(優勝)が本当の王者ですから。(今回は)夜のチャンピオンを獲ったんで。来年は名古屋でダービーもあるんで、そこですね。そこを目指していきたい」
 強面ながらも礼節を重んじる父とオーバーラップする面持ちに、天性の勝負強さがプラス。ニヤリと笑う近藤が、G1制覇に次なるターゲットを絞る。
 最終ホームでは新田は一本棒の8番手。大外をまくり上げるも、時すでに遅く2着が精いっぱい。
 「作戦どおりにいったけど、緊張感のある戦いのなかで負けてしまった。自分の力が及ばなかった」
 単騎の芦澤は、中部勢の後ろの7番手でじっと我慢。最後は狭いコースを突っ込み3着に入った。
 「小埜さんと(位置取りで)バッティングするよりは、自分はあそこで一発にかけた。外を行くのは無理だなって感じたんで、最短を行く形になった」
 願ってもない展開も、ビッグ初Vを目前にしてまさかの車体故障。VTRを見ながら4着の岩津が悔やむ。
 「形をつくってくれたのに、それをモノにできなかったのは俺の力不足。決まってましたね、アタマだと思ったけど。あれ(接触)で止まってしまった。最後は運がなかったです」

Race Playback

レース展開5
 俊敏なコース取りから5近藤龍徳選手が、シャープに突き抜けて、アッと驚くV獲り。

レース経過

誘導員 : 荒澤貴史

 浅井、近藤の中部コンビがスタートで前に出ると周回は浅井―近藤―新田―山崎―芦澤―小埜―原田―岩津―柏野の並び。
 赤板前から上昇した原田は中団の新田にフタ。前受けから誘導員を残して下がってきた浅井が中バンクまで上がると、先頭になった原田は新田にフタをするのを諦め前に出る。一度ペースを緩めた原田は波を作って4コーナー山下ろしでペースアップ。5番手に浅井、新田は8番手で最終ホームを通過する。小埜が2コーナー過ぎから先まくりに出たが柏野の外で一杯に、その外をまくろうとした浅井も膨れてきた小埜が邪魔になる。これで岩津に絶好の流れかと思われたが、直線で柏野と接触して失速。浅井にスピードをもらって中バンクを踏んだ近藤がその外を鋭く伸びる。大外を迫った新田が2着に入り、柏野と原田の中を割った芦澤が3着に食い込んだ。

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