石井貴がガルコレ初制覇
優勝を決め検車場に引き揚げてきた石井貴を待っていたのは地元の男子選手の祝福だった。胴上げは検車場の天井にぶつかりそうになるほど。石井貴は満面の笑みで何度も宙に舞った。
「周回中は無心だったので、ゴールした瞬間にやっと感情が戻って、(優勝は)私だって思いました!」と興奮気味に振り返った。
レースは長澤を高木が突っ張って先行。石井貴は勝負どころで内をすくって高木の番手へ。直線で力強く踏み込むと、高木をこん身の追い込みで捕らえた。
「これだけのメンバーで7人が7人動くので、あんまり(作戦は)考えすぎないようにしてました。初手は3番手が理想だったし、理想の位置から始まりました。外を踏むと遅れるバンクなので、地の利を生かせたと思います。とにかく落ち着いて脚を溜めて、並んで来られたら早めに出ないといけないけど、追い込み1本でいこうと考えました」
春先は不調に苦しんだ。そんなときに救ってくれたのはファンの声援だった。
「今年春からの不調でどうしようと思ったけど、ファンの方々から大丈夫と言われて。今回も声援が力になりました。地元で獲れて本当にうれしいです」
賞金ランキングも8位まで上昇。加瀬、梶田、石井寛とナショナルチーム4人がそろう29日からの四日市にGP出場がかかる。さらにはリオ五輪へ向けて10月からW杯シーズンも始まる。
「グランプリと直近に迫っているリオのオリンピックに向けて、両方頑張っていきたいと思います」
石井貴は浮かれることなく勝負となるこの先の戦いを見据える。
2着の高木は検車場に引き揚げてくると「悔しいー」と素直に悔しさを現した。
「前取ってイメージ通りいけたけど、はっきりと力の差を感じました。今度は逃げ切れるように。自分がしたいレースはできました。緊張よりも楽しさが上回りました。それが逆によかったんだと思います」
加瀬は「自分としては今日の競走に後悔は一切ありません。自分は攻めました」と3着にも充実した表情で検車場を後にした。
大本命に推された小林はまさかの4着に終わった。
「行けるチャンスは何度もあったけど気持ちが焦って仕掛けられなかったです。グランプリ前にこういうレースがあったことが収穫です。しっかりグランプリに向けて、もう一度初心に戻って先行で作り直してきます」と前向きに話した。