し烈を極める頂上決戦
主役の座に最も近いのは新田祐大だろう。今年3月の日本選手権でシリーズ制のG1初制覇。6月高松宮記念杯は準決勝で落車失格したが、復帰戦の7月寛仁親王牌で決勝進出。後半戦に入っても勢いは止まらない。8月函館サマーナイトは決勝で惜しくも2着に敗れたが、強さは際立っていた。ファン投票7位でドリームレースに初選出。初日から自慢のスピードで厳しい包囲網を突破しよう。山崎芳仁は2月の全日本選抜を制覇。その後も安定した戦いぶり。渡邉一成は寛仁親王牌で3年ぶりのG1優出。その後はパッとしないが、強烈なダッシュ力とスピードは輪界随一だ。悲願のG1初制覇へ機は熟した。佐藤友和は高松宮記念杯で落車負傷。長期欠場を余儀なくされたが、8月京王閣で復帰してからは一戦ごとにリズムを回復している。菊地圭尚は全日本選抜で準V。寛仁親王牌でも決勝進出とキメ脚が冴えている。
関東勢も戦力は引けを取らない。武田豊樹はオールスター連覇に挑む。寛仁親王牌は決勝2着と好走。相変わらず破壊力抜群の攻めを見せている。サマーナイトの準決勝で落車負傷。直後の小田原記念は大事を取って欠場したが、この大一番にはきっちり間に合わせてくるはずだ。平原康多は7月の練習中に落車。手首を骨折して、長期欠場中だ。怪我の回復次第だが、出場すれば大きな期待が集まる。ベテランの神山雄一郎が機動型を巧みにアシストする。8月富山記念の最終日に落車。サマーナイトは怪我の影響で本調子を欠いたが、ここまでには立て直せる。グランプリ出場の賞金争いで好位置につけているだけに大事なシリーズになりそうだ。
深谷知広、浅井康太の中部SSコンビも復権へ虎視眈々。深谷は今年に入って優勝ゼロ。ビッグレースでの優出が1度もないが、それでもファン投票1位に選出された。サマーナイトも初日予選で敗退。安定感を欠く走りが続いているが、豪脚復活をファンは待ち望んでいる。深谷とは対照的に浅井は好調を持続している。7月四日市では地元記念3連覇を成し遂げた。サマーナイトは連勝の勝ち上がり。初日ドリームレースから深谷との強力タッグで魅せる。後半戦に入って調子を上げてきた金子貴志はサマーナイトの準決勝で落車。怪我の影響が懸念される。
近畿勢は総大将の村上義弘を軸に強固な布陣を敷く。満身創痍の状態でも強い精神力で常にファンの期待に応えてきた村上。今年もファン投票5位でドリームレースからのスタート。勝ち上がりは有利だ。さらに頼もしい後輩が村上を後押しする。脇本雄太は高松宮記念杯、寛仁親王牌でG1連続優出。7月福井で地元記念を連覇を達成した。タイトル奪取で先行日本一の実力を証明するか。稲垣裕之はサマーナイト、8月小田原記念でやや精彩を欠いたが、この大会に照準を合わせて仕上げてくるだろう。稲川翔は寛仁親王牌、福井記念の連続落車から立ち直りつつある。
南関勢は地元地区のG1で奮起する。海老根恵太は安定性に欠ける近況だが、好調時の切れが戻ってきている。成長著しい南関地区の機動型をうまくリードして勝ち上がる。地元の大舞台で輝きを取り戻す。
九州勢は園田匠が寛仁親王牌を制覇。久しぶりのタイトルホルダー誕生で、地区全体が盛り上がっている。中川誠一郎や大塚健一郎、井上昌己ら総力を結集して他地区に抵抗する。
岩津裕介、原田研太朗の中四国勢も軽視できない。岩津は7月福井記念から4場所連続優出するなど状態は上向き。勝負の終盤戦へラストスパートをかける。原田は今年に入って3度のビッグ優出。ここも磨きをかけた機動力で強豪相手に真っ向勝負を挑む。