夢に見たG1初制覇
「デビューする前からそこ(表彰台の真ん中)を夢見てきて。周りの人に恵まれて頑張り続けて。やっと立てた感じです。たくさんの方に応援してもらって、立つことができて幸せです」。G1ファイナルにはこれまで7度進出し、決勝3着が3度。タイトル獲得のチャンスはこれまでもあった岩津が、8度目の決勝でようやくG1のタイトルを手にした瞬間だ。
「壁は分厚い感じでした。自分のできることだけをやって続けていこうと。(デビューから14年)ここまでくるまでって考えたら長かったですね」
準決勝も近畿勢後位を選択し、決勝のレースも京都コンビの後ろを選択した。
「(ラインの先頭が)村上さんなんで臨機応変に走るっていう感じで、作戦は特に立ててなかったんで。でも、村上さんの競走の雰囲気からそういうレースになると青板から感じ、自然と力は入りました。最後は稲垣さんと離れてふくらんでいたんで見えてはいなかったです。(ゴールして)歓声が『ワー』っとなっていて、ビジョンを見て自分が勝ってるのかなと」
昨年はS班になり、後輩からもそれまで以上に頼られる立場にもなった。中四国の選手に話を聞くと『岩津さんにアドバイスをもらって』と頻繁に聞くことがあった。これからはタイトルホルダーとして再度、中四国をけん引していく存在になる。
「2013年の初めに頚椎を捻挫して。自分の甘いところを見つめ直し、向き合って結果が出だした。自分の力でG1を獲れるほどのモノを僕は持ってなかったと思います。本当に怪我もあったし。サポートがなかったらここまでは来れていないと思います。仲間であり、ライバルであり名前を挙げればきりがないです。(タイトルホルダーとして)新田君や深谷君になることはないので。自分の走りっていうのはそう変わらないと思うんですけど。その中で研ぎ澄まされるところを研ぎ澄まして、磨いていきたいです」
グランプリ出場も決まり、岩津の目はすでに次へ向いている。いぶし銀の活躍をこれからも魅せ続ける。
「やっぱり競輪選手なので。もう僕の中では、すぐ次に向かって。良い意味で忘れて、次のレースに向けてまた頑張っていきたいです」稲垣裕はまたも悔し涙
稲垣に微笑みかけた栄冠。しかしあと数メートルのところで、またしてもG1のタイトルはするりと逃げた。レース後は悔し涙を流した。
「僕も躊躇なく踏み込みましたし、ゴールまで全力を出し切ったので悔いはないです。岩津が強かったです。これまでずっと村上さんの背中を見てきて、今日ほど大きく見えたことはない…。まだまだ自分の力のなさを実感しました。もっと強くなってきます」
地元の中村にもチャンスはあった。それでも3着という結果に前を向く。
「チャンスはあったけど、自分の力不足というか、技術不足というか。でも力の限り出せたことはよかった。村上さんのあそこまでの先行は後ろに付いていても男を感じたし、近畿の結束を感じた。南関も負けてられない」
村上は気持ちのこもった先行で魅せたが、シンガリ負けに終わる。
「僕の力不足で残り1周から稲垣が出ないといけない形になって申し訳ない。考えて力を出し切った結果。悔いはないです」
ファン投票1位でオールスター連覇を狙った新田は木暮と同着の6着。
「中団が取れたしあとは力を出すだけの気持ちで。そこでの気持ちの余裕はあったつもりだったけど、後ろが誰か見えていなかった。まだまだ甘い」
平原も力の限りを出し切ったものの、優勝には遠かった。
「3周から突っ張られて緩むところがなかった。頑張った結果だけど悔しいですね。同期が優勝したんで喜びたいと思います」とライバルを称えた。