酒井拳が大一番制す
「勝ちにこだわりたい」
松阪記念の3日目。検車場入りした酒井は想いを口にした。道中は主導権取りに動いた竹内に反応して4番手を確保。別線の動きを見極めて、3コーナーからまくってⅤ。冷静な判断と、持てる力を出し切って、見事109回生の頂点に立った。
「竹内さんが良い先行してたし、(打鐘では)位置も悪くてやばいかなと思いました。レース運びは最悪だったけど、一個、一個前々に踏んで。池野さんの所まで行こうと思ったけど、そこは無理せず。力でねじ伏せたって感じではなかったけど、勝てて良かった」
在校時は第2回トーナメント、卒業記念を2着など大一番で勝ち切れず。しかし、打ちのめされるたびに立ち上がった。そんな反骨精神が、酒井に悲願のタイトルをもたらした。
「レースが始まる前に、オッズを見たら売れていなかったし、S級とA級のパンツの色の違いを見て気持ちが負けそうになりました。でも、『見てろ』と思って。勝ち切れない男と言われていたけど、借りは返せましたね」
優勝にあと一歩まで迫った瓜生だったが、酒井に屈して準V。
「来たら仕事をしようと思っていました。あれで、前を抜けないようではダメですよね。竹内さんのおかげです。やったほうですね」
太田は5番手で佐々木と被って外を踏めず。最後は酒井を追って直線勝負に賭けたが、届かず3着まで。
「難しかったですね。酒井君もすぐ飛んできてしまったし。もうワンテンポくるのが遅ければ。脚もみんな一緒だし、レース展開が読みづらかったです。久しぶりに同期と走れて刺激になりました」
公言通りの先行勝負に出た竹内だったが、結果は6着に終わった。
「バックでのカカリも良かったけど、4コーナーで力んでしまって。うまく踏み直すことができませんでした。でも、自分のレースはできたので、練習してもっと脚を付けて。先行してヤンググランプリを獲れるようになりたいです」
竹内ラインを追い、絶好の3番手を確保した池野だったが、直線で伸びず。読みは的中するも、結果に結びつかなかった。
「作戦通りで、後ろから。太田から動いたけど、先行ではないと思って(付いていかなかった)。VTRを見たら内が空いていてチャンスはありましたね。今回の悔しい経験を生かして。自力屋として頑張りたい」