地元は譲れない浅井康が主役
ホームの四日市では記念4連覇を逃したものの、浅井康太は着。さまざまなシチュエーションに対応しながら、ファンの期待に応えるべく力走した。今シリーズも、浅井が強い気持ちで主役の座を守り抜く。競輪祭の落車からぶっつけで臨んだ昨年のグランプリが3着。続く和歌山記念で着と17年もまずまずの船出となった。その後は松山記念を挟んで今年最初のG1、全日本選抜を着。準決ではタッグを組んだ深谷知広が不発の苦しい流れも、的確な判断と俊敏な立ち回りから活路を見出し勝ち切った。前述した四日市記念では、柴崎淳、竹内雄の番手でギリギリの選択を迫られながら、3連勝は並みの選手にできる芸当ではない。ところが、直近のウィナーズカップでは初日にまさかの落車のアクシデント。二次予選4着で、シリーズ半ばでの帰郷を余儀なくされた。そこから日にちもないだけに、万全での状態での出走は厳しくなった。12年以来2度目の松阪記念V獲りには、全日本選抜では準決敗退も最終日に圧巻の逃げ切りでファンを沸かせた深谷の力が欠かせない。坂口晃輔は、浅井とともに四日市記念で奮闘。初日特選では竹内を差し切り、準決では稲垣裕を直線でとらえる鋭脚を見せた。追い込みとして着実に力をつけていて、mこちらも浅井にとって心強い存在に違いない。
例年通り和歌山記念から今期を始動した武田豊樹は、その後ゆとりのローテーションで地元の全日本選抜を着。スタールビー賞、準決では平原康のまくり、先行を追い込んで連勝。決勝では4分の3車輪、交わせずの準Vも3日間続けてのワンツー劇でファンの思いに応えた。続くウィナーズカップも着とここまでは順調そのもの。今シリーズは、全日本選抜の初日、そして、ウィナーズカップ準決勝でも連係した吉田拓矢がいる。それだけに迷うことなく番手での立ち回りから、別線にプレッシャーをかけてV獲りへと集中する。その吉田は玉野記念を着。未勝利も思い切った仕掛けで、ラインを上位独占に導いた。また、ウィナーズカップ着でも2日目の優秀戦で平原、準決勝では武田を勝利に導く先行で成長を猛アピール。吉田本来の弾むような躍動感が戻ったのは大きく、他地区にとっては脅威だろう。
先の全日本選抜では2度目のG1決勝の舞台を踏んだ三谷竜生に古性優作らの近畿勢も今や中部、関東に引けを取ることはない。近畿勢が大挙6車決勝に進んだ昨年12月の岸和田記念では、別線になった三谷と古性。が、その前の11月の広島では、三谷のまくりを古性が追い込んで優勝と相性は悪くない。ずば抜けた対応力を持っている三谷が好展開を演出すれば、古性がチャンスを逃さない。
玉野記念の決勝では単騎ながらもあわやのシーンを作った早坂秀悟が、北日本浮沈の鍵を握っている。一撃必殺のカマシで別線を置き去りにすれば、菊地圭尚、佐藤慎太郎にも出番が巡ってくる。とくに北日本のなかで、追い込みとしてのポジションを着実に上げてきた菊地の悲願の記念初制覇は、周囲が待ち望んでいる。
ムラな面もあるが一発の魅力のある近藤隆司や松岡貴久も侮れない。