武田豊が復活のビッグ制覇
苦しみ抜いた先の勝利だった。昨年8月のオールスターで落車。約2カ月の長欠から寬仁親王牌で復帰を果たすも、満足いく走りはできなかった。それでも武田は不屈の精神力で己を磨くと、大舞台で勝負強さを発揮。見事にビッグ制覇を果たした。
「(前回は)いつ優勝したかわからないですね。(一昨年の)岐阜記念だったと思うんですけど。良い時も、悪い時も、平原君と一緒に走ってますから。最近は(ワンツーが)決まってなかったので、すごく嬉しいです」
努力が報われたのは、幾度も連係を重ねた盟友・平原の番手から。三谷が番手で粘ってペースが緩むと、平原が勝負所を逃さずスパート。武田は踏み出しこそ続くも、1センターで口が空いてしまった。それでも、諦めずに平原を追いかけると、直線で追いつきざまに交わして優勝をつかんだ。
「骨盤を折ってからスピードが出ないので。決勝も番手戦で加速がまだちょっと。追いついて待つと後ろから食われるなって言う感じがあったし、2日目の反省を生かして(前に踏んだ)。ここは(09年9月の)オールスターを獲っている競輪場ですから、(ファンの声援を受けて)懐かしく感じましたね」
次のビッグとなるダービーは、斡旋をしない処置により不参加。体を万全に仕上げて、3カ月後の高松宮杯に照準を絞る。
「宮杯に向けて体作りをしたいですね。怪我したことによって、体のリズムがすべて悪くなったので。治すことに専念しながら、またこういう大きい舞台で勝負したって気持ちで一杯です」
平原は交わされて準V。それでも、武田のVを心から祝福した。
「(三谷が粘るのは)考えてなかったです。もう少し待ってもよかったけど、自分のレースをして終わりたかったので。僕の優勝じゃないけど、ラインで決まったし、武田さんが勝ったので。1着と同じくらい嬉しい終わりかたですね」
原田は、前を追って3着に入線。ラインを機能させられず、悔しそうにレースを振り返った。
「SSは何でも対応してくるなと思いました。一番嫌な展開になったんで…。後ろに3人いてくれたのに、仕事ができず申し訳ない」