中川誠一郎が地元記念を連覇
16年4月に発生した熊本地震から約3年半。今大会が久留米競輪場で開催されるようになり、今年で4回目を迎えた。中川誠一郎にとっては、「GIとは比にならないくらいの緊張」を感じる大会。そんな大一番で、熊本のエースとして大役を成し遂げた。
「後輩の頑張りで勝てたのは、選手冥利に尽きます。たまたま僕が代表で優勝させてもらっただけですね。僕も合志(正臣)さんたちの前で頑張ってきたけど、こうやって後輩に伝わっていってるっていうのは感動です。みんな成長したなって、親みたいな気持ちですよ(笑)」
準決勝では上田尭弥に。二次予選Aと決勝は、中本匠栄に前を任せて戦った。
「地元記念でも3勝しかしたことがなかったので、記念開催で4連勝は初めてです。前進しましたね。40歳にして」
打鐘で主導権を握った中本に続き、最終1コーナーで門田凌をブロック。さらに、まくってきた松浦悠士に合わせて番手まくりを放ちゴール線を駆け抜けた。
「門田が浮いて止まりそうだったので、あとは松浦だけだと思いました。(松浦が)門田に隠れる感じになっていたけど、ちょっと見えたので行きました。あの位置で被るのは嫌だったので、行って差される方が悔いはないなと思ったので」
熊本競輪場は令和2年に着工し、令和3年12月に竣工予定。最高の舞台が戻ってくるまで、中川は気持ちを切らさず全力で戦い抜く。
「年齢的に、これから急激に強くなることはないですからね。今の状態を維持していきます」
まずは来月、九州地区で開催される競輪祭。そして、グランプリでも結果を残し、熊本を盛り上げていく。
松浦悠士は最終2コーナー手前から仕掛けるも、中川に合わされて2着でゴールした。
「(中川に)バレないように仕掛けたつもりだったんですけどね…。バレていなければっていうのはあります。でも、あそこから合わせる中川さんは強い。(今シリーズは)3日目からデキも修正できたし、自力で戦えたのでそこは良かったです」
中川のけん制でスピードが鈍った門田凌だったが、番手まくりの中川を追いかけて3着。記念初決勝で確定板入りを果たした。
「作戦はほぼノープラン。前が取れたからそこから考えようと。松浦さんが上昇してきた時に、誘導を切らないとって考え過ぎて、下げるのが遅れました。そんなことはせずに、すぐに下げれば良かったですね。どこかで動かないといけないと思って仕掛けたら、中川さんに振られた。そこからは中川さんが普段通りガツンと踏んでいたら、バンクも重たかったから離れていたと思いますけど、ペースみたいな感じで中川さんがまくってくれたから何とか追うことができました」
熊本コンビの後ろを確保した柴崎淳だったが、最終バックでコースがなくなり8着に敗れた。
「勝つには、(中川)誠一郎さんを1センターですくって、ムリヤリ出させないと行けなかったですね…。何もできなかったです」
中本匠栄は果敢に主導権を握り、中川の優勝に貢献した。
「ちょっと思っていたより、早く自分に順番が回ってきたので、あとは(中川)誠一郎さんお願いしますって気持ちで行きました。誠一郎さんの優勝で良かったです」