清水裕友が3度目のビッグ制覇
「めちゃくちゃうれしい。いままでで一番うれしいです」
グランプリは3年連続の出場。S級S班も3年目に入っていた清水裕友は、3度目のビッグ制覇で開口一番、こう言って顔をほころばせた。
「正直、このままズルズル終わってしまうのかっていう思いもありました」
昨年は2月の全日本選抜で初タイトルを獲得してグランプリ一番乗りを果たしたものの、その後は成績を残しても自身が納得するレベルまでのパフォーマンスには至らなかった。7月のサマーナイトフェスティバルでは2度目のビッグV。清水健在をアピールしたが、全日本選抜以降のG1では決勝のキップさえつかむことができなかった。
「(去年の悪い時期は)気持ちが抜けてました。いろいろ試行錯誤をして、なかなか我慢できず投げ出して、うまく自分の形にできなかった。それが今年になって身になって結果が出だした。悪い時は悪い時でこんなもんっていうのもあったけど、いま思うと苦しかった」
同地区の松浦悠士ともに輪界リードしてきただけに、焦りもあっただろう。年が明けても“潮目”は変わらず、キッカケは2月の全日本選抜での1年ぶりの優出だった。
「年が変われば流れも変わるかと思ったけど、1月もダメでした。2月の全日本選抜でなんとかしてやろうっていう気持ちで、結果が出て安定して良くなってきた」
迎えた今シリーズ、準決では門田凌の頑張りもあって、松浦とのワンツーで優出。「もう松浦さんのケツだけ見て、精いっぱい走りました」と、決勝でも揺るぎない信頼で松浦に続いた。
レースは、高橋晋也が主導権も、打鐘から反撃に出た松浦に合わせた高橋の踏み出しに守澤太志が遅れた。逃げる高橋の番手に入った松浦は、後続の反撃を待つことなくまくりを断行。チャンスが清水に訪れた。
「ずっと内に守澤さんがいたのが気になった。松浦さんに付けて回りながら、当たられても対処できるようにとは思っていました。(松浦が番手からまくった時は)なにがなんでも優勝っていう気持ちで、松浦さんを残すっていう余裕まではなかった。本当に自分が1着を取ることに精いっぱいでした」
直線で山田英明、古性優作が迫るも、動きが戻った今シリーズの清水を脅かすまでにはいかなかった。2着の古性に1車身以上の差をつけてゴールを駆け抜けた。
「だんだんトレーニングとかの成果が出はじめて、自転車を含めてマッチしてきて良くなってきた感じですかね。とりあえずはダービーを目指してやっている。去年(新型コロナウイルス感染症の影響で開催中止で)ダービーを走れなかったぶんもある。そこで優勝できるように頑張りたい。連日、ラインのおかげで勝たせてもらったし、次は自分が恩返しをできるように。中四国を盛り上げていきたい」
完全復活を印象づけたウィナーズカップV。やっぱり清水、松浦の中国S級S班に活気がないと競輪はおもしろくない。
最終ホームで中国勢と単騎の山田に割り込まれた古性優作は、最終4コーナーから内よりのコースを伸びて2着。
「(高橋が)どんどん駆けていくと思って車間を切れなかった。ミスをしたし、稲川(翔)さんに申し訳なかった。(松浦は)想定よりもツーテンポ早かった。(最終)バックからは外を踏んでも伸びなかったので、もう1回3コーナーで態勢を立て直して内に行くしかなかった」
高橋に合わされた松浦悠士は、冷静な立ち回りで空いた番手に収まる。が、そこで構えることなく仕掛けて、清水のVチャンスをメイクした。
「深谷(知広)さんが行く前に叩くつもりで行ったけど、守澤さんが空いて入った。でも、(最終)バックは取ろうと思っていた。脚は溜まってなかったっけど、待ち過ぎたら行かれてしまう」