• 伊東競輪場開設71周年記念椿賞争奪戦12/16〜12/19

後記 GⅢ 伊東 12/16

今年のラストで初優勝

新田祐大

新田祐大

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 「今年はダメだなって、自分でもあきらめているところもあった。(優勝して)苦しいことだけじゃないんだって感じました」
 通算7度のG1制覇(4日制以上)。すでにグランドスラムに王手をかけている新田祐大だが、今年の初優勝に喜びを隠さずにこう口を開いた。今年は12年のロンドンに次いで、2度目の五輪を地元で8月に終えた。ケイリン、スプリトの2種目ともに不本意な結果だった。中ゼロの強行スケジュールでオールスターから復帰した新田は、優出を果たすも決勝は5着。その後も優勝には、なかなか結びつかなかった。
 「久々の優勝ってことで単純にうれしかった。本当だったら目指したところは、もっと上のところだった。もっと頑張らないとってあらためて感じました」
 延期された東京五輪に専念。今年はわずか4カ月足らずでグランプリ出場権を争わなければならないハンディもあり、通算8度目のグランプリ出場を逃した。しかしながら、グランプリチケットの勝負づけが済んだあとも、新田は松山記念、伊東記念と師走の輪界を盛り上げた。
 「今日(決勝は)そんなに上手なレースではなかった。ただ、この優勝っていうのは、来年以降プラスになる。自信をもって練習に取り組んで、レースでもガンガン攻めていけるようにしたい」
 単騎の決勝は、ナショナルチームのチームメイト寺崎浩平が主導権。打鐘では深谷知広を後方に置いて7番手のポジションだった。
 「深谷が(ラインが)2車だし、地元で勝ちたいっていう気持ちが誰よりもあったと思う。それで寺崎のレースになった。でも、そいういう風に考えていたんで対応もできた。(6番手で単騎の長島大介が)踏んでいって、深谷も同じタイミングで来るんじゃないかと。僕の動きで深谷が来づらくなるだろうし、自分にとっては有利な展開になった」
 最終ホーム手前で北津留翼が仕掛けるが不発。今度は長島が仕掛けると、続いた新田がその上をまくって、直線半ばからは強襲する深谷と2人の勝負になった。
 「ゴールした時はどっちが優勝したのか…、深谷かなって。一緒にオリンピックを目指してきたなかで、(深谷と)ゴール勝負ができたのはうれしい」
 先頭でゴールを駆け抜けて、長く凝縮された21年をしめくくった。
 「ナショナルチームと(S班の)赤パンツのプライドをここ何年かずっと背負ってきたけど、SSからは離れてしまう。(S班の)トップ9人から勝ち取るようなレースをしっかりと組み立てたい。明日、明後日からまたナショナルチームの練習が始まる。ヤンググランプリに出る寺崎、小原(佑太)、ガールズグランプリの小林優香がいるので、そのサポートをしながら、ナショナルチームから優勝が出てくれればいいと思います」
 来年の1月に36歳を迎える“年男”。精神的な支柱となり、ナショナルチームの後輩に自身の経験を伝えながら、来年はS班に返り咲く。

 8番手からのまくり追い込みだった深谷知広が2着。一撃にかけた地元記念準Vに肩を落とした。
 「(新田と)2人でゴール勝負できたのは良かった。欲を言えば(ラインの)松坂(洋平)さんとワンツーでの(上位が)3人なら良かった。今回は動いて動いてギリギリの勝ち上がりだったんで、(決勝は)基本的に人の動きを見てからと。人任せと決めてたんで、結果2着だったんで失敗ですね」

 松坂洋平は、深谷のスピードに対応して3着に流れ込んだ。
 「もう(深谷に)お任せしていたし、ああいう形になってくれればと。(前が)どういう風になっているかわからなかった。深谷君の後輪だけを見ていた」

Race Playback

レース展開4
新田祐大選手が長島大介選手の上をまくって今年初優勝。まくり追い込みで強襲した地元の深谷知広選手は2着、3着に松坂洋平選手。

レース経過

誘導員 : 菊池竣太朗

 号砲で内枠の4車も前を取りに出たが、大外枠ながら新田祐大が素早く飛び出し正攻法。寺崎浩平-村田雅一-椎木尾拓哉の近畿勢が続き、その後ろは深谷知広-松坂洋平の南関勢。北津留翼-坂口晃輔が後ろ攻めとなり、単騎の長島大介が最後方の並びとなる。 早々と青板前の3コーナーから北津留-坂口、長島が踏み上げる。北津留が新田に並びかけると新田はすんなり4番手まで車を下げた。赤板前の3コーナーから寺崎以下の近畿勢が上昇をはじめると、誘導の後ろに入っていた北津留は誘導を交わして突っ張る構え。両者で踏み合うも赤板過ぎに寺崎が前に出ると、村田は続くも3番手の椎木尾は坂口にさばかれてしまい、寺崎-村田の後ろに北津留-坂口が入る。打鐘は寺崎-村田、北津留-坂口、椎木尾、長島、新田、深谷-松坂の一本棒で通過。最終ホームで3番手の北津留が仕掛けたが、寺崎に合わされてしまい2コーナーであっけなく終了。すると1センターからスパートしていた長島が前団に迫り、新田、深谷-松坂が続く。長島は2センターで寺崎を交わしたが、新田も2センターから踏み込んでいて、4コーナーを立ち直ったところで先頭に立つ。ゴール前は新田に続いていた深谷が鋭く伸びだが、新田は2分の1輪こらえて当所記念初Vを達成した。

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