逃げ切りで5度目のビッグ制覇
いつもだったらレースを動かすポイントの赤板を迎えても、郡司浩平は後方でじっと我慢。一撃のタイミングにかけた。
「車番も外枠でしたし、(自分が押さえて)切って、切ってカマされたりとかは嫌だなと。同型(平原康多、松浦悠士)が多かった。だったら一発切りにいって、そこからレースの流れを見てと思ってました」
前受けの平原、中団の松浦を見る形で、郡司は7番手から赤板の1センターで踏み込んだ。郡司が勢い良く飛び出して、打鐘過ぎに神奈川3車が出切る。すでに郡司の腹は固まっていた。
「ビッグの決勝で、神奈川3人で乗ることはなかなかない。自分も気持ちを入れて走りました。ジャン過ぎくらいでは、誰も出させないつもりでした」
4番手は平原が確保して、松浦が打鐘4コーナーから反撃に出る。
「(最終)ホームで(松浦が)来ているのは確認できた。あとはペースでバックではまくられないうように。あとはどれだけもつかでした。(落車事故は)正直、なにが起こったかわからなかったです。(優勝は)うれしい反面、(和田)真久留が転んじゃったので複雑な気持ちですね」
迫る松浦を番手の和田真久留が、懸命のブロック。平原も佐藤慎太郎にかぶって仕掛けられない。最終3コーナー過ぎようやく平原が踏み込んだが、松浦とからんだ和田が落車。佐藤、平原も巻き込まれた。先頭でゴールを駆け抜けた郡司だったが、盟友の落車には心を痛めた。
「昨日(準決)で半周ですけど、まくりで自力を出せて、そういう気持ちも出すレースができた。それで長い距離(を踏む)不安はなかったです」
8月のオールスターで落車に見舞われて、次の小田原記念から新車を投入した。手ごたえを感じならも、フレームがもつポテンシャルを最大限に引き出し切れずにいたが、脇本雄太の連勝を止めた2日目に確信できるセッティングが固まった。
「(グランプリ出場は)確定してないので、(今年)数少ないレースになってしまうけど、1走、1走、悔いないように。もちろんG1優勝を目指して、走ります」
4連勝での完全Vで賞金を上積みして、獲得賞金ランクも5位まで押し上げた。4年連続4回目、地元、平塚での2度目のグランプリにも大きく前進した。
「優勝すれば(グランプリ出場に)かなり近づくなって思っていた。一歩踏み出せて良かったです」
今年のG1も残すところあと2つ。昨年同様にタイトルを奪取してグランプリを迎える気持ちは変わりない。
神奈川ライン3番手の内藤秀久は、最内で落車を避けて2着。郡司とのワンツーも、自身にとっては課題を残した。
「(最終)バックで真久留がどこまで引き付けるかでしたけど、クイックな動きに付いていけなかった。バックを踏みながらでしたが、6番(柏野智典)に入られて、前輪も引っ掛かっていたし、(佐藤)慎太郎さんもしゃくってきた。このステージの3番手は難しい。力量がない。結果、2着でしたけど、気持ちいい2着じゃない」
最終3コーナー過ぎで内よりのコースを踏んだことで武藤龍生に3着が転がり込んだ。平原の落車を気遣いながら、こう振り返る。
「平原さんなら仕掛けると思って待っていました。内を見ていて(落車を)避けられたのかなって。平原さんが落車して、自分だけになってしまいましたね。昨日(3日目)も危なかったが、今日もあの展開なら内しかないと。そこをよく見ていて空いてくれと。自分もなにかやりようがあったのかなって、複雑ですね」