• 岐阜競輪場開設73周年記念長良川鵜飼カップ9/1〜9/4

後記 GⅢ 岐阜 09/01

鮮やかすぎたまくりV

松浦悠士

松浦悠士

決勝優勝写真
決勝優勝写真

 ゴールを先頭で駆け抜けたあとの1コーナー、松浦悠士が右の拳を上げて喜びを表した。
 「(前回優勝した)富山よりもキツいメンバーだった。思い切り行くだけだと思った。ダメでも仕掛けて大槻(寛徳)さんにもチャンスがあるように。そういうのが良かったのかもしれない。自分だけって思ってると」
 前回の富山記念決勝では、自ら動いて4車で結束した東日本勢を粉砕。しかしながら、今度は3車の地元勢と眞杉匠、平原康多の関東コンビの消耗戦を冷静沈着に見極めた。
 「(車番からも)絶対に後ろ攻めになると思ってた。そしたら平原さんの後ろに入れた。(周回中で)2番目だったのは想定外でした」
 前受けから岩本俊介を突っ張った眞杉は、次に襲い掛かる志田龍星を出させて番手に飛び付く。しのいだ山口拳矢が番手を守り、眞杉が3番手に入って最終ホームを通過。立て直した眞杉が外に持ち出した瞬間を松浦は見逃さなかった。
 「眞杉君が突っ張ってからのレースになるんだろうなと。眞杉君はだいぶ脚力を消耗していたんで、(眞杉が)仕掛けたタイミングでと。平原さんを超えられれば、勝負になるかなっていうのがありました」
 眞杉が加速している上をさらに踏み上げた。脚がたまってたとはいえ、前には平原という厚い壁が。そこには松浦の緻密な計算とテクニックがあった。
 「平原さんも僕が後ろっていうことはわかってたから、内を締めていた。そこを瞬時に判断できた」
 平原が大きくアクションを起こせないタイミングで加速して、連係した大槻寛徳さえも置き去り。切り替えた平原を松浦が振り切った。
 「今回はアクシデントもあったんで、(優勝は)余計にうれしいです。状態はすごくいい。ただ、今回のダメージがあるんで、しっかりと次に備えたい」
 富山に続く連続Vは、ともにラインの先頭を務めて、自力でつかんだもの。弾みをつけて共同通信社杯の臨む。
 「去年(の共同通信社杯)は失敗してるんで勝ち上がりを大事にしたい。その先に脇本(雄太)さんとの対戦があると思うので、一矢を報いたい」
 昨年はオール予選の初日で、まさかの敗退。それだけに期する思いがある。そして連勝を続ける脇本との再戦。年末の大舞台、グランプリをイメージしているのは言うまでもない。

 「前回と同じように勝てなかった」とは、平原康多。富山記念に続いて、またもや松浦を交わすまでに至らなかった。が、眞杉の奮闘もあり、納得の顔で振り返る。
 「眞杉も頑張っていたし、自分は(川口)聖二のところをさばいた。あとはヤマケン(山口)と眞杉の勝負を3番手でと。もう少し待てるかと思ったけど、待てなかったですね。あれ(松浦のまくり)は対応できない。でも、ラインとしてはすごくいい競走ができたし、意地は見せられたと思います」

 松浦の踏み出しに置いていかれた大槻寛徳は、結果的に平原を追いかけて3着に流れ込んだ。
 「(松浦に)感動しました。すごすぎですね。これで(まくりに)行くんだって。自分はもう脚がいっぱいだった。(松浦を)抜けば優勝だけど、そんなに甘くない。すごいチャンスだった。もったいないけど、いまやれることはすべてやった」

Race Playback

レース展開3
 5番手からまくった松浦悠士選手が記念を連続V。切り替えた平原康多選手が2着、3着に大槻寛徳選手。

レース経過

誘導員 : 竹内雄作

 号砲が鳴ってやや見合った状態から平原康多が出て、眞杉匠-平原の関東勢が前受け。以下、松浦悠士-大槻寛徳、志田龍星-山口拳矢-川口聖二、岩本俊介-佐藤慎太郎で周回を重ねる。 青板3コーナーから岩本が上昇を始めるが、赤板経過と同時に眞杉は突っ張って出させない。そこに志田がカマシで襲い掛かる。3コーナーで志田が出切ると、眞杉が飛び付き策に転じて中部勢分断に出る。しのいだ山口が番手を死守したものの、川口は平原にさばかれて3、4番手は関東コンビが占め、その後位に依然として松浦-大槻のラインで最終ホーム。2コーナーで眞杉がまくると、追って松浦も仕掛ける。番手まくりで応戦しようした山口は眞杉に被って苦しくなる。その上を松浦が軽々とまくって2センターでは先頭に。すかさず平原が松浦後位に切り替え、松浦に遅れた大槻が両者を懸命に追ってくる。直線に入り、迫る平原を振り切って松浦がⅤ。2着は平原で、3着にも大槻が入った。

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