• 伊東競輪場開設72周年記念椿賞争奪戦12/22〜12/25

後記 GⅢ 伊東 12/22

野原雅也が2年ぶりに掉尾を飾る

野原雅也

野原雅也

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 飛ぶ鳥を落とす勢いの中野慎詞や、山崎賢人が中核を担った九州4車との戦いを制して、野原雅也が今年最後の記念競輪を締めた。
 自らスタートを飛び出した野原が前受けして周回が進む。中野をけん制しつつ、嘉永泰斗が青板バックで踏み込む。そのまま九州勢を出させても、野原に勝負権はない。合わせて踏んだ野原は、九州ライン3番手の中本匠栄に飛び付いた。
 「車番が悪かったし、後ろよりも前からと思ってたけど、前が取れるとは思ってなかった。(嘉永と中野の)どっちが飛んできても遅れないようにとは思ってました。自分の現状の脚力じゃ、すんなり出させてもまくれる相手じゃない。いろんなことを考えてました。嘉永君が良いスピードで来て、(山崎)賢人さんの所は無理だった。あの並びなら中本さんか、田中誠さんの所。最悪でもその後ろは取りたかった」
 初日特選で見せた単騎カマシのような、タテ脚の威力だけが野原の武器ではない。飛び付ける勝負度胸と、そこから位置を取り切るだけのヨコの技量が冴え渡った。最終ホームから番手まくりに出た山崎を、直線でとらえてVゴールを駆け抜けた。
 「もちろん自分で仕掛けることも頭にあったけど、タイミングがなかった。優勝のことは考えず、無心でゴール線目掛けて踏みました。その結果が優勝だった」
 「(野原)雅也は後方にはならない」と、同地区の追い込みからの信頼も厚い。さらなるレベルアップを果たして、今度はG1で。近畿地区をけん引する存在へと、駆け上がっていく。
 「自分は不甲斐ないレースばかりだし、古性(優作)さんや、脇本(雄太)さんはすごいと思うことばかり。背中を追いかけるばかりじゃなくて、少しでも追いつきたい。今年は調子を崩してG1で活躍できなかった。来年は強い気持ちを持ってやっていきたい」
 また、決勝戦には元ガールズ選手で伊東出身の妻、小川美咲さんら家族も応援に駆け付けていた。なかなか表情を崩さない野原も、その事に話題が及ぶと笑みがこぼれた。
 「本当はあんまり来てほしくないんですけど(笑)。無事で走り切れたし、優勝賞金も出た。子供におもちゃでも買ってあげようかな」
 クレバーな勝負師も、家に帰れば二児のパパ。最高のクリスマスプレゼントを届けるべく、早足で会見場を後にした。

 2着入線の渡邉雄太は内抜き最終2コーナーからの内抜きで失格。3コーナーから内を踏んで突っ込んだ大川龍二が2着に繰り上がった。
 「(中野との連係で)ずっとハンドルをしっかり握っていました。(中野が浮いてから)なんとか行けるところまでって。一戦、一戦無駄にできないし、こけてもいいくらいに行ってこけずにゴールできた。今年はS級の初優勝や、(共同通信社杯で)G2に初めて参加。記念で初の決勝確定板と初めてばかり。『俺はどこまでいくんだろう(笑)』って。仲間たちの助けや、助言もあってここまでこれたし、感謝の気持ちです。どでかいクリスマスになりました」

 最終ホームで番手まくりの山崎賢人だが、直線で力尽きて3着。
 「力不足でした。内も外も全部見えていた。からまれるのは、俺か、その後ろだろうっていうのも、わかっていたので。(番手まくりしてから)余裕はなかった。あれで4着(入線)まで沈んでいるので力不足。4車なのに申し訳なかったです。(今後は)1月に沖縄合宿があって、2月にネーションズカップがあるので、それに向けてですね」

Race Playback

レース展開4
 九州作戦で番手まくり敢行の山崎賢人選手の後位を奪い取った野原雅也選手が2年ぶり2度目の記念Vを達成。2着には内コースを突っ込んだ大川龍二選手が繰り上がった

レース経過

誘導員 : 望月裕一郎

 号砲が鳴ると外枠ながら野原雅也が勢いよく飛び出して誘導員の後ろに付いた。野原-村田雅一の近畿勢が前を固め、嘉永泰斗-山崎賢人-中本匠栄-田中誠の九州勢が続く。単騎の渡邉雄太が7番手で、中野慎詞-大川龍二が後攻めとなった。 青板で中野-大川が上昇を開始すると、嘉永は牽制して前に出させない。渡邉は空いた内を抜けて近畿勢の後ろにスイッチ。青板周回のバックで早くも嘉永が主導権を狙ってスパート。正攻法の野原も踏み込み応戦する。赤板で嘉永-山崎の2車は前に出たが、3番手は内に野原、外に中本で並走となった。2コーナーを立ち直ったところで野原は中本を捌きにかかり、中野も踏み込み反撃を開始。ジャンの2センターで3番手は野原がキープする。中野は前団に迫るが、最終ホームで山崎が番手まくりを敢行したため、村田の外で並走となり、2コーナーで村田に捌かれて失速。3コーナーで渡邉は村田を内から追い抜き、大川が渡邉にスイッチ。山崎、野原、渡邉、大川で最後の直線へ。野原がゴール前で山崎を差して優勝。渡邉は2着で入線したが、最終3コーナーで村田を抜いた行為が失格と判定され、ゴール前で山崎と野原の中に突っ込んだ大川が2着に繰り上がった。3着は山崎。

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