ここが今年のスタートライン
松浦悠士
ゴール直後に右の拳を握りしめて優勝を確信した松浦悠士は、もう一度拳を雨空に突き上げると、今度は両手でガッツポーズ。クールな松浦が、気持ちをあらわにした。
「新田(祐大)さんがコケてしまったなかで、ガッツポーズをしてしまった。申し訳ない気持ちでした。ただ、苦しかった分、いつもよりうれしさがありました」
4年連続のS級S班。このウィナーズカップで通算7度目のビッグ優勝。松浦にとっては、見慣れて景色と思われても仕方がないが、今シリーズは並々ならぬ思いだった。
「ここで結果を出さないとっていう思いをもってきた。最低でも(決勝で)2着以内に入らないと、今シーズン戦えないんじゃないかっていうのがありました。結果が出てうれしいです」
前回の松山記念は優出こそ逃したものの、松浦のなかではつかんでいる手ごたえがあった。
「脚の感覚は(前々回の)全日本選抜からずっといいっていう感じだった。あとは迷いがなくなった。松山でそういうのが吹っ切れたっていうのが大きかった」
20年に優勝したウィナーズカップは、今シリーズで5年連続の決勝進出。一昨年は3着、昨年は2着で連覇した清水裕友とともに表彰台に上がった。しかしながら、今シリーズは清水の名前が出場者にはなく、中四国勢として、ただ一人の優出だった。
「(ウィナーズカップは相性がいいんで)なんとかなるかなっていう感覚はあった」
レースは、カマした新山響平が嘉永泰斗を叩いて北日本勢の主導権。そこに最終ホーム手前から古性優作が襲い掛かった。
「古性君が残り1周の時点では、必ず仕掛けると思った。そこにスピードをもらってから内か外かっていう感じでは思ってました」
思惑通りの流れも、古性に押し込まれた新田祐大が落車のアクシデント。近畿勢を追いかけるように外にいた松浦は、落車を避けて瞬時に脇本雄太の動きを見極めて内に進路を取った。
「落車ははっきり誰がコケたとかもわからなかった。ただ、自分の方に飛んでこないでくれって。一瞬、脇本さんの外に行きかけたんですけど、外に行ってたら合わされる。内しかないと。あの辺の判断とかは結構、瞬時にできたんじゃないかなと」
松浦らしいスムーズな運行で脇本のインをすり抜けると、4コーナーでは古性の外に持ち出して伸びて優勝。これで賞金を大きく加算。今年のグランプリチケットをかけた争いのスタートラインに立った。
「(グランプリは)タイトルをもって出るのが一番いいんで、そこを目指しながらですね。自力で動いてはないんですけど、しっかり要所の判断と最後に脇本さんに踏み勝てたところ。そういうところでは自信が取り戻せた。しっかり自力で戦えるように、もっと組み立ても考えながら今年1年間を戦っていきたいです」
今年は中四国勢のS級S班は松浦一人。“有形無形”大きなものを背負いながら、松浦が今年の一歩を遅まきながら踏み出した。
古性後位で挑んだ決勝の脇本雄太は、不慣れなマークながらも懸命に古性の動きに対応。松浦にすくわれて最終2センターでは外に浮いたが、最後は持ち前の脚力で2着に追い込んだ。
「古性君は理想的な仕掛けをしてくれたし、それに応えられなかった悔しさが残る。(最終)バックの落車のところも対応しないといけないし反応が遅れた。古性君の後ろは勉強になったし、今後につながる。(今後も)対戦相手などを判断して、どっちの並びがいいかも判断していければ」
最終バック手前で新田が落車。寸前のところで避けた守澤太志は、立て直してしぶとく伸びた。
「脇本君を飛ばす感じで待っていたけど、(落車があって)新田君の方に寄っていってしまった。真っすぐ走っていれば、(新山)響平の後ろに入れて、優勝できたと思うし、その判断がまだまだでした」