サマーナイトフェスティバルを3連覇
一昨年のここ函館では清水裕友、昨年の玉野では犬伏湧也、そして今回は脇本雄太の番手でサマーナイトフェスティバルを3連覇。同地区の清水、犬伏との連係は必然だった松浦悠士は、脇本の番手を選択してのV奪取に胸をなでおろすように息を吸い込む。
「まずはしっかり(脇本と)ワンツーできたことは、ホッとしているというか、緊張と楽しみ半分、半分って形だった。連係を外さないことだけを考えていた。3連覇っていうよりも、ちゃんと連係が決まったことが良かったです」
レースは、単騎の3人を中団に入れて、脇本は周回中で7番手。赤板を通過して1センター過ぎから脇本が踏み出した。
「あそこから踏んで踏み出しも(佐々木悠葵と)合っていたんですけど、そこからさらに加速していった。最後もすごい粘り脚で、付いてて本当に強いの一言です」
誘導を降ろして佐々木も全開で踏み上げるが、スピードの違いは誰の目にも明らかだった。ただ、3番手の山田英明が遅れたように、松浦も油断はできなかった。最終ホーム過ぎに平原康多の横を松浦が通過して、脇本とともに出切った時点で他の7人にはほぼ出番はなかった。
「(出切って)掛かりがすごかったので、誰も来ないだろうなって思った。後ろを確認する余裕もなかったんですけど、(最終)バックで一応、確認しておかないとなっていうぐらいの感じだった。自分もそこまで余力はなかったんですけど、見たら7番(松井宏佑)が見えた。(脇本を)抜けるか抜けないかとか、なんかそういうのはわからなかったですね」
敵として数多の名勝負を演じてきた2人のタッグ。ラインとして初めて番手を回った松浦にはVゴールの確信こそなかったが、計ったように脇本を差し切った。
「いままで他地区の選手とかにも付いてきてたんですけど。SSになってからはやっぱり近畿から東の選手には付いてきていない。そこの決断というのはすごく勇気というか、付く以上は結果を求められるし、下手な競走はできないというのは決断した上では思っていました」
その答えを自らの力で出した松浦は、通算8度目のビッグ制覇、今年は3月のウィナーズカップに次いで2回目のビッグVで、賞金を大きく加算。獲得賞金でも3位にランクアップした。
「(4月武雄記念の)落車の影響がかなり尾を引いた感じはあったんですけど、それがようやく治ってきたなっていうのは手応えとして感じています。G2が獲れるっていうことは、G1タイトルも手が届くと思う。しっかりチャンスが来たときに獲れる準備をするっていうのと。自分の力でもしっかり勝負できるように、日々練習、トレーニングしていかないといけないなって思います」
一昨年、5月の日本選手権以来のG1タイトル。いまのデキなら脇本の番手でなくても、難しいことではない。
機動力の違いで関東勢をのみ込んだ脇本雄太は、出切ってからもそのスピードは衰えない。単騎を含めた別線には、反撃の隙を微塵も与えなかった。
「(仕掛けた時は佐々木と)ちょっとテンポが合っちゃったんですけど、そこは力ずくで行かないとっていう気持ちはあった。新田さんのところが空いているのが見えた。入れたらラッキーかなって思ったんですけど、それじゃ意味がないというか、決まらないと思った。(今回は松浦と初連係となったが)誰が付いても、自分のスタイルは変えないつもり。これだけ一緒に戦っていれば力量は知っていたので、あのペースで行ったら抜かれるかなって思った。それでもチャンスはあると」
打鐘2センターで外の山田をさばいた松井宏佑は、前の2人を追いかけて3番手。最終4コーナーから追い込んだが届かなかった。
「(松浦の後ろに)スイッチする時にかなり脚を使った。(最終4コーナーで)踏み込んだ時には脚が残っていなかったですね。早めに仕掛けても合わされるかなと。最後の最後と思ったけどダメでした。力不足です」