• 青森競輪場第39回共同通信社杯9/15〜9/18

後記 GⅡ 青森 09/15

9年ぶりのビッグVで第二章がスタート

深谷知広

深谷知広

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 14年8月のサマーナイトフェスティバル以来、実に9年ぶりのビッグ制覇。その間にナショナルチームを退き、一昨年の1月には新たな練習環境を求めて愛知から静岡に移籍。さまざまな思いが深谷知広の心のなかを駆け巡る。
 「すごいうれしい気持ちと、まだ受け取れない気持ちの半々です。なかなか結果が出せず、時間が掛かってしまったけど。こういうところで結果を出せてうれしいです」
 練習仲間の渡邉雄太とのビッグ決勝の舞台。アイコンタクトなしでも、2人の思惑がピタリと合致した。
 「(渡邉との)連係は何度もあるけど、G2の決勝での初めてだった。力はわかっているので、うまく力を発揮すれば互いにチャンスあると思っていた。単騎の選手は基本的には考えず、まずは中四国の動向を注視していた。(中四国勢が)早めに押さえにきて、引いた方がいいと思ったところで(渡邉が)引き出したんで考えていることが一緒だなと。そこからは安心して付いていた」
 赤板で7番手に下げ切っていた渡邉は、先頭に立った佐々木豪が緩めたその瞬間を見逃さなかった。2コーナー過ぎから仕掛けた渡邉が主導権を握って駆ける。しかしながら、ラインは深谷との2車。遅れ気味に2人を追いかけた単騎の新山響平が、最終ホーム手前から襲い掛かった。
 「(渡邉は)かなりいいレースだったと思う。新山君が一瞬で横に来て止められる感じではなかったから、(渡邉)雄太を入れたいなと。そこで嘉永(泰斗)君がいたので止めた」
 新山には出られたものの、もう1人の単騎、嘉永の反撃の芽は深谷がブロックして摘み取った。懸命に新山との車間を詰める渡邉だが、その距離がなかなか縮まらない。バックを過ぎて深谷は判断に迫られた。
 「前を見た時に新山君がちょうど見えなかったので、どれくらい車間が空いているかっていうのが読めなかった。自分の間合いというか、そこで踏ませてもらいました。(踏み出して)出が悪くて、一瞬届かないかなという思いもあったんですけど。そこからガムシャラに踏んでどんどん距離が詰まってきたので、そこはいけるかなと」
 自慢のエンジンに点火して、深谷は最終3コーナー過ぎに踏み込んだ。直線の入口では、新山とのスピード差は明らか。深谷に誰一人ついてこられず、新山を3車身ちぎってゴール。静岡の深谷としては、初めてのビッグ制覇と遂げた。
 「(静岡に移籍してからは)練習仲間も増えて、年下の選手もすごい多いのでその責任感もある。そのなかで自分も引き上げてもらっている。(今年に入って)番手を回る機会が増えて、最初のころよりは余裕をもって走れているかなと思います。(今後は)ここは最終目標ではもちろんないですし、上位で戦える力をさらにつけていかなくてはいけない。来月から自分たちのなかでキツい練習の期間に入るので、そこをしっかり乗り越えてさらにみんなで成長できるように。まずは頑張って、その先の結果というのをしっかり求めたい」
 1月の大宮、前回の松戸と今年2度の記念Vも番手でのもの。9年ぶりのビッグ制覇で“深谷劇場”の第二章の幕がようやく開いた。

 ただ一人、S級S班として優出。地元のビッグでただならない重圧もあった新山響平だが、単騎でも臆することなく力を出し切った。深谷につかまっての準Vも、その走りは称えられていい。
 「(組み立てとしては)先手ラインの3、4番手っていう感じだった。三谷(竜生)さんの(ラインの)3番手だと立ち遅れると思った。結局、9番手になってしまったんですけど、(渡邉)雄太君が行く気があるように見えた。雄太君が踏んだ時に遅れたんですけど、緩んだところで前に出られた。(自分の後ろは)ピタッとついている感じじゃないのはわかったんですけど、目いっぱいだった。フォームもぐちゃぐちゃで、落ち着いていつも通りの感じで踏めれば、もっとゴール前勝負ができた思う。もっと遅めにいければ、もうちょっと良かったかもしれないですし、(位置を取れる)テクニックがあれば良かったんですけどね」

 近畿コンビに割り込まれた隅田洋介は、最終ホームで9番手。最終2コーナーからインを進出して、中団まで取りつくと直線で外よりのコースを伸びた。
 「ちょっと追走できなかったですね。タイミングがズレてしまった。追い上げようと思ったんですけど、三谷さんも引かないでしょうし。(清水裕友の後ろに)付いていれば違ったと思う。内はずっと空いていたんで、とりあえずドッキングしないとなって。(3番手回りは)難しいですね。人に合わせて踏まないとなんで、番手でも難しいし勉強です」

Race Playback

レース展開4
 深谷知広選手が、3番手から早めの追い込みで抜け出して優勝。3車身差の2着に地元の新山響平選手。隅田洋介選手が3着。

レース経過

誘導員 : 佐藤友和

 号砲が鳴ると三谷竜生が勢い良く飛び出して誘導員を追う。初手は三谷-南修二、渡邉雄太-深谷知広、新山響平、佐々木豪-清水裕友-隅田洋介、嘉永泰斗の並び。 青板1センターから後方から佐々木が早くも上昇を始めて、渡邉の外でフタをする。3コーナーで渡邉は後方まで下げると、佐々木は3番手に一度入りしきりに後方を警戒。赤板を過ぎて佐々木が仕掛け先頭に立つも、ペースが緩んだタイミングを見逃さずにバックから渡邉が一気に巻き返す。2センター過ぎに渡邉が先頭に躍り出たのもつかの間、渡邉-深谷を追った新山が地元の声援を背にすかさず最終ホーム手前でスパート。嘉永は新山を追いかけるも清水、深谷に阻まれ後退。新山と渡邉の車間は開いたままで3コーナーを迎える。2センターから3番手の深谷が自ら踏み上げ、前の新山を追いかける。直線で新山を捕らえた深谷が9年ぶりのG2制覇を決めた。2着は新山が粘り込むも、地元でのビッグ制覇はならなかった。3着にはバックで後方となりながらもコースを突いて伸びた隅田が食い込んだ。

ページトップへ