• 弥彦競輪場 第32回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント10/19〜10/22

後記 GⅠ 弥彦 10/19

史上6人目の年間3度のG1V

古性優作

古性優作

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 ゴール後は両者を上げてガッツポーズ。最終日にしてようやく納得のパフォーマンスにたどり着いた古性優作が、惜しむことなく喜びを表現した。
 「(3日目までは)たまたま1着が取れている状態で、感触も良くなかった。決勝は本当にすごく良かった」
 初日の「理事長杯」、2日目の「ローズカップ」を含めた3連勝。決勝も当然、人気に推された古性だったが、おごりは微塵もなかった。
 「もしかしたら(周回中の位置も)一番後ろになるかと思ったんで、あそこ(4番手)が取れるとは思わなかった。犬伏(湧也)君が来なかったのも想定外だったし、想定外のことが多かった」
 3車の福島勢が前団を占めて、古性は中団からレースを進める。単騎の河端朋之は9番手で、7番手の犬伏は赤板を迎えても動かない。一瞬の判断が明暗を分ける闘いにも、冷静さを欠くことはなかった。
 「犬伏君と小松崎(大地)さんを見て、あとは自分がどういう判断をするか。最初に切る予定でしたけど、レースは生きものなんで。その時の瞬時の判断でああなったと思います」
 大方の予想では主導権を取ると思われた犬伏が後方で動かない。打鐘2センターでようやく犬伏が仕掛けるも、タッグを組んだ諸橋愛は付け切れない。一度は見送った犬伏が大きく外に膨れてスピードが鈍ると、古性は2コーナーから犬伏の内を踏み込んだ。
 「4日間のなかでは一番冷静に走れたし、一番(感触が)良かった。踏み出す前に周回中から感触が良かった。これならいい感じで踏めるかなと思った」
 決勝前のウォーミングアップから、3日目までとは違う手ごたえがあった。それは前回の熊本記念のあとに受けた村上義弘さん(京都・73期、引退)の助言だった。
 「久留米(熊本記念)の時はどうしようもなくて、村上義弘さんにアドバイスをいただいた。そのことが自分のなかでハッときて、今日のレースとかも自分なりにそれができたかなと。(連日)もっと良くなるようにやってきたなかで、決勝のアップの時は乗り方を思い出したって感じで、周回中からこれイケるかもしれへんなっていう感じだった」
 山降ろしで再び踏み込む犬伏が降りてきて、コースが狭くなったが古性はひるむことはなかった。合わせれた犬伏は外に浮いて後退。佐藤慎太郎の仕事を許さずに、瞬く間に前団をまくり切って優勝を遂げた。
 「年間でいまのところ(5つのG1で)全部決勝に乗れて、3つ獲れた。今年最初はそんなにできると思ってなかったんで、ちょっとビックリしています」
 すでにグランプリ出場権は2月に手に入れているが、獲得賞金も大きく上積みして2億1600万円超。賞金トップを独走して、年間レコードが視野に入るところまできている。また、2月の全日本選抜、6月の高松宮記念杯に次いで今年3度目のG1制覇で、年間3回のG1優勝は史上6人目。11月の競輪祭を残しているだけに、前人未到の年間4Vの記録も現実味を帯びてくる。
 「史上最高額も目指したい。(年間G1優勝記録も)したいですね。(G1を)1回優勝してまったく満足してない。満足してないなりの結果が出せていると思いますし、今日優勝できたけどまったく満足してない。この気持ちがあったらまだまだ戦えるかなと思います。満足したら、そこで終わりなんで。いままでと一緒じゃダメなんで、もっともっと高いところを目指してやっている。もっともっと脚力もそうですし、ヨコの動きも、精神的にも強くないとダメですし。本当に強くないと、自分の目指しているところまでいけない」
 究極の理想形を追い求めて、古性はこれからも慢心するこなく自身を高みに引きあげていく。

 先行策の小松崎の番手で佐藤慎太郎は、最終2センターで南修二をブロック。もつれた2人のあおりを受けて接触した和田健太郎が落車に見舞われる。結果的には南をさばいて審議対象にはなったが、セーフ判定の佐藤が離れた2着に入った。
 「小松崎大地は、本当にいい走りをしてくれた。犬伏のまくりが見えて、どう止めようかと思っていた。その時に古性も来て、対応ができなかった。苦しまぎれに(南)修二のところにいったが対応しきれなかった。自分としては最善のことはできたかな。小松崎大地がいい選手だというのを再確認できた。俺も勝ちたいけど、大地には獲って欲しい。(年末のグランプリへ)賞金の上積みができました」

 福島3番手を固めた渡部幸訓は、内を締めて直線まではじっと我慢。アクシデントもあったが、G1初ファイナルで初めて表彰台にあがった。
 「内を締めておくのが3番手の仕事。3番手を固めさせてもらって、その仕事をこなせるようになってきたという実感がある。今開催はラインのおかげだし、自力選手の頑張りで恵まれました。(佐藤)慎太郎さんに食らいついていたので、3着というのはわからなかった。初のG1決勝で表彰台はデキすぎですね。競輪人生で(G1決勝に乗れて)満足していたところもあるが、ラインのおかげです。自分の力よりもラインの力。(今後は)初心に返って一戦、一戦、コツコツやっていきたい」

Race Playback

レース展開4
 中団からまくった古性優作選手が4連勝で優勝。小松崎大地選手の先行を利した佐藤慎太郎選手が離れた2着、3着に渡部幸訓選手。

レース経過

誘導員 : 藤原憲征

 スタートは好枠を生かして飛び出した佐藤慎太郎が誘導員を追う。初手は小松崎大地-佐藤-渡部幸訓、古性優作-南修二、和田健太郎、犬伏湧也-諸橋愛、河端朋之の並び。 青板バックを過ぎに小松崎が後方を警戒し、誘導員との車間を空け始める。4番手の古性も後ろを確認するも動きはないままで赤板を通過。赤板2コーナーから小松崎がペースを上げて、ジャン前で誘導員を交わしてスパート。それを見て7番手の犬伏もダッシュを生かして2センターから一気に巻き返す。しかしながら小松崎のカカリが良く、犬伏の仕掛けは4番手外まで。最終2コーナーで犬伏が勢いが止まると、4番手の古性がすかさずまくり上げる。古性のスピードはかなり良く、2センターで先頭の小松崎を捕らえる。小松崎後位から切り替える佐藤と古性を追う南でもつれ合って後続の和田が落車。南を捌いた佐藤は前の古性を追うも、古性が追撃を振り切ってのV。今年3度目のG1制覇を完全優勝で飾った。2着には佐藤が入り、佐藤追走の渡部が初G1決勝で3着に入った。

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