移籍した荒井崇が地元記念V
今年2月に生まれ故郷の長崎に移籍。荒井崇博は、移籍後の当所F1で2度の優勝と、すっかり地元の顔となった。その荒井が、移籍後初めて迎えた佐世保記念を完全優勝で締めくくり、ゴール後はめったに見せないガッツポーズで地元ファンの声援に応えた。
「移籍して一発目(の地元記念)で優勝できるとは思ってなかった。その気持ちが出たガッツポーズだったね。どこにいっても、地元は地元。脚が落ちる前に移籍できて良かったね(笑)」
大挙して勝ち上がった九州勢が、5車のラインを形成。必勝態勢を構築して臨んだ決勝戦だった。九州勢の思惑通りにはさせまいと、小林泰正は青板から動いて伊藤颯馬に並び立つ。それでも、伊藤が意地で突っ張り切って主導権を渡さない。一旦は連結が乱れた井上昌己であったが、最終ホームで追い上げて荒井と再度ドッキング。九州ラインの面々がそれぞれ仕事をこなして、荒井にお膳立てが整った。最終バックから自力に転じてまくった荒井を、井上が追走。移籍前から盟友のゴール勝負は、今回は荒井に軍配が上がった。
「(井上)昌己とは、どっちが優勝でも良かった。ワンツーが決まって、それで俺が優勝でうれしい。昌己とは暗黙の了解で、点数を持っている方が前を回るって感じなんだよね。昌己が追い上げてくれたからまくれたし、それでも抜かれるかなと思った。俺が点数を持ってるし、わがままし放題で決勝の並びも決まった。わがままを言ったからには、絶対に1着を取らないといけないと思ったし、優勝できて良かった」
21年11月の武雄以来、通算17回目のG3制覇は、他地区に有無を言わせぬ完全優勝。この優勝を足掛かりに、来年に持ち越しとなった夢舞台への挑戦を、今度こそは成功させたい。
「今年一年、脚は仕上げていたけど、自分の不甲斐なさと運のなさを感じた。来年こそはどういう形であれ、グランプリに乗ってみたいね。タイトルでも、賞金でも、なんでもいいよ(笑)」
19年の中川誠一郎以来、九州勢からはグランプリ出場者が出ていない。本気で頂点を目指す荒井が、九州勢の中核をなして来年のG1戦線を熱くする。
2着は井上昌己。4度目の地元記念制覇はならなかったが、荒井との地元ワンツーに胸をなでおろした。
「(赤板の)踏み出しで空いてしまって、(そのまま)付いていけばアウトかなと思った。平原(康多)がもう一回外に持ってくるかなと思いましたけどそれもなかったので(追い上げた)。荒井さんは伸びていく感じで自分を抜かせないようなまくりでしたね。この結果には納得しているし、最後に抜ければ一番良かったですね」
単騎の小川真太郎は、初手は九州勢を追走するも、ハイペースに遅れを取って最終ホーム9番手。バックでもつれる前を目掛けて踏み込んで3着も、何もできず悔しさをにじませた。
「後ろになったのは仕方ないですね。前の方に1つでもいようと思ったんですけど、行けるところもなかったです。ハイペースでどうしようもなかった。今回は調子を上げてこられたし、(シリーズを通しては)悪くなかったと思います」