九州のエース嘉永泰が主役
優勝候補は5指に余る大混戦のV争い。狙いは絞りにくいが、ラインの総合力でリードしているのは九州勢だ。中でも今年の嘉永泰斗は、自力攻撃に一段と磨きがかかった感がある。ウィナーズカップ、共同通信社杯はいずれも準決1着で決勝にコマを進めているし、G3では5月函館記念で優勝をものにしている。競輪祭は一次予選1で古性優を撃破し勝ち星ゲットの好スタートを決めたが、一次予選2では落車のアクシデントに見舞われた。体調には一抹の不安が残るものの、問題がなければ主役を務める。地元勢は荒井崇博、井上昌己ら百戦錬磨の大ベテランに期待がかかる。荒井は競輪祭の一次予選1で太田海の逃げを差し切っていて、45歳ながらスピードに陰りは見られない。チャンスが巡ってくればものにできる状態にある。井上は近況今ひとつながら、当所記念では3Vの実績がある。割増しの評価が必要だろう。
全国各地でスケールの大きな競走を演じている北井佑季の単にも魅力を感じる。9月向日町記念で圧巻の逃げ切りVを達成した後も、G3開催はすべて決勝に乗っているし、競輪祭では予選を着で準決に進出している。二次予選Aでは先行して2着に粘り、松谷秀と神奈川ワンツー。中野慎、山田庸らを沈黙させている。当所は先行有利のバンクでもあり、好機に仕掛けて先手を奪えば押し切りは十分だ。小原太樹が続き神奈川コンビでの連独占を狙う。
グランドスラマー新田祐大から狙う手もある。今年はグランプリ出場権を獲得できなかったものの、10月京王閣記念ではG3開催の3V目を飾っているし、競輪祭は一次予選1、一次予選2、ダイヤモンドレースと3連勝していて、最近の動きは悪くない。12月別府記念から中2日での参戦となるので、疲労は心配されるが、ナショナルチーム出身でタフなレーサーだけに評価を下げる材料にはなるまい。好位置キープから自力を出せれば首位に躍り出る場面も。大森慶一が新田をマークする。両者は5月函館記念の二次予選で連係していて、まくった新田を大森が差して連独占を決めている。
平原康多も今年はここまで優勝ゼロと不本意な成績に終わり、11年連続でのグランプリ出場を逃がした。競輪祭の最終日に落車していて、体調も気になるが、吉田拓矢、坂井洋、雨谷一樹と関東勢の戦力は整っている。落車の影響がないようなら、好勝負に持ち込んでも不思議ではない。吉田はオールスターの決勝で暴走失格を喫し、今シリーズが復帰戦となる。実力はSS班に見劣りしないので、レース勘に問題がないようなら優勝争いを賑わす。最近の坂井は積極的な競走が目に付く。動向からは目が離せない。