俊敏に立ち回った浅井康太がV
人気を集めた中四国勢を打ち破ったのは浅井康太。今シリーズは急遽の追加参戦となったが、優勝という最高の結果を手にした。
「初日は良くなくて、最終日に向けて調整ができたのは大きい。修正力、調整面のコンディショニングができたと感じた。しっかりと向き合えたのが結果につながった。それを今後に生かしていければ自信につながっていくのかなって思います」と、開催中に自身と向き合えたことを勝因に挙げた。
レースは菊池岳仁と町田太我の117期勢による先行争いにも注目が集まっていた。菊池は板過ぎのバックから誘導と距離を空け始め、町田を強く意識する。菊池の後ろは佐藤慎太郎と、東龍之介の競りになっていたが、その後ろにいた浅井は冷静に状況を分析し、仕掛けるタイミングを探っていた。
「菊池君はやる気がありましたね。バック30本の徹底先行で行きっぷりのいい選手。赤板過ぎに町田君がはまって、厳しくなったけど、自分は余裕があって、東君が追い上げて行ったのを目標にまくりに行きました。(勢いを)止められたけど、あれがなければまくれていたような感触があって、まくり切っていれれば(優勝は)井上さんだったかもしれないし、ワンツーが決まるように仕掛けられたと思う」
東のけん制を受けた浅井はその後も的確な動きを見せる。瞬時に松浦の後ろに切り替えてゴール前での一騎打ちを制した。「そのあとは切り替えて、立て直した。気持ち、体、脚に余裕があったからできましたね。普通なら2、3回、脚を使って、松浦君の番手まくりを抜けないだろうけど、そこは感触良く踏み込めた」と心技体が整ったレースを披露して優勝をつかみ取った。
今年の6月に40歳を迎える浅井だが、前回のG1で得た経験、またこれまで培ってきたことの中で、「競輪は気持ち」が大事だということを語った。「前回のG1から各地区の選手に付かせてもらって、今回も松本(秀之介)君だったり、中部でいえば(高橋)和也だったりに付いて、いろいろ経験ができて、決勝の自力につながっている。あとは、競輪は気持ちが大事だなあと。強い選手は気持ちが入っているし、そういうレース、走りをする。テクニックうんぬんよりも気持ちかなって思います」
一番人気に支持された松浦悠士は町田太我を目標から最後は自らタテへ踏んだが、結果を残せず、あらためて、現状の力を確認することになった。
「前から突っ張りという感じでしたが、違う展開も考えていました。町田君が(菊池の)番手に入って落ち着いていいかなって思ったけど、(佐藤)慎太郎さんも東さんも内から来るかなって気になった。町田君もタレてきたので出たんですけど、最後は苦しくなりました。踏んだりやめたりがあったけど、今までの自分なら押し切れる距離なので。それが今の自分の状態。自力だとまだまだだなって分かっているので、しっかりタテ脚を出せるようにしていかないといけない。やりたい練習はあるので、焦らずやっていきたい。町田君をサポートできなくて悔しいです」
井上昌己は浅井の俊敏な立ち回りをしっかりと追走を決めて3着に入った。
「ちょっといろいろと気になりすぎた。もうワンテンポ早く踏んでいれば面白かったかな。浅井君に合わせて松浦君が出て、浅井君がその後ろに入る時にバックを踏んだので伸び切らなかった」