チャンス逃さず岩本俊が完全V
結束した南関ラインのうち3人が地元勢。番手での重責を担った岩本俊介が、4連勝の完全Vで人気に応えた。
「道場(晃規)君が頑張ってくれて、ラインでワンツーが決まったと思います。とにかくラインから優勝者を出そうと、みんなが力を出した結果、たまたま僕の優勝だった」
1番車の岡村潤がスタートを出て、南関勢が前団に構える。ラインの先頭を務めた道場が、青板の3コーナーで川口聖二を突っ張り主導権を渡さない。その後は後続を一本棒にして、好ピッチを刻んで駆ける。息の合ったラインプレーに、岩本もミスは許されなかった。
「枠のいい岡村さんにスタートを取ってもらって、突っ張りの方がラインが壊されないなと思ってた。他が早めに来ることも想定していたし、道場君もいろんなところで注意して駆けてくれていた。とてつもない気合で、赤板のタイムもすごいんじゃないかな」
4車のアドバンテージを生かした南関勢に流れは向いたが、5番手には脚を使わずにじっとタイミングをうかがっていた吉田拓矢がいた。
「(吉田が)初日に(最終)ホームですごい勢いで来てたのも覚えていたんで、そのタイミングで振ってみた。(番手)らしいことも、ちょっとはできたかな」
一度を波をつくった岩本だったが、最終2コーナーから意を決して番手まくり。吉田には自身の影をも踏ませることなく、地元の岡村潤とのワンツーでゴールした。
「自力で走ったのは1走だけで、3走は番手だった。前が頑張ってくれたおかげだし、連勝は関係ないです。立ち回りは難しくなってるんですけど、動けるうちは自力でやりたい。でも、勢いのある若手もいるんで、うまく立ち回りたい。(ラインの)前でやってきて、自力の気持ちはわかる。ラインとしてまとまっていきたい」
あと1カ月足らずで不惑を迎える岩本。さまざまなシチュエーションでの対応が求められる立ち位置になっても、自身の柔らかな物腰は変わることなくラインの絆をアピールして優勝をかみ締めた。
風を切る道場のハイペースに、一度はわずかに車間が空いた岡村潤だったが、打鐘で追いついて、その後の岩本の番手まくりに続いた。
「(スタートが)雨谷(一樹)だったんで結構、行っとかないとっていうのはありました。(道場が突っ張って)1回、口が空いちゃった。付いたけど、そのあとも気持ちだけ焦っちゃってうまく追走できなくてダメでした。でも、(吉田に)横に並ばれる前に(岩本)俊介が行ったんで、付いていけばっていうのがあった。最近は(最終)4コーナーから離れていくのが多いけど、(岩本とのワンツーで)最低限は。萩原(孝之)さんがあの位置にいて、内を締めていてくれたのも大きかったですね」
思惑通りの5番手でワンチャンスにかけた吉田拓矢だったが、悔いの残る仕掛けになった。
「(南関勢の)ペースがすごかった。(打鐘の)4コーナーで行ければ良かったけど。タイミングがズレて、そのあとも無理やりだった。2人付いているので、焦っていった感じだった。申し訳ないですね。あそこ(打鐘4コーナーの仕掛けどころを)を逃しているし情けないです」