スピードバトルを山崎賢人が制す
パリ五輪には帯同せず、リザーブとして国内にとどまることなった山崎賢人。その悔しさを、18年取手記念以来2度目のG3優勝で晴らした。
九州を担う若手3人での連係。山崎は、準決と同様にライン3番手の位置で勝機を待った。
「しっかりラインとして機能しないとなっていうのがあったんで、まずは内を締めてと。(伊藤颯馬が)新山を叩き切ったので、とんでもなくきつかった」
伊藤が、新山響平を上回るダッシュで主導権を奪ったが、単騎の森田優弥がすんなりと九州勢を追走。間髪入れずにまくり上げ、番手まくりに出た嘉永泰斗をまくり切る。森田には上を行かれた山崎だったが、続いて仕掛けてきた松浦悠士はしっかりとブロック。返す刀で森田の外を、鋭く追い込んだ。慣れない位置でも、冷静さが光った。
「森田がすかさず来たので、あっと思った。行かれたけど、その後ろはしっかり(止めよう)と思って。ちょっと迷ったところもあったけど、2人でもがき合っていたので(踏んだ)。周りはみんな強い人だったんで、その時、その時で反応して、判断した結果ですね」
パリ五輪への出場が叶わなくとも、ナショナルチームで積んだ経験は無駄じゃない。ナショナルチームの去就についての明言は避けたが、サマーナイトフェスティバルと、オールスターへの出場は決まっている。競輪では、活気づく九州地区の一員として、地元地区全体を盛り上げていく。
「(ナショナルチームでは)すごい良い環境で練習をさせてもらっていました。レベルアップできたと思います。今回は、ラインのおかげで勝てた。ラインの先頭で頑張れるように、自力でもっともっと強くならないといけないです。九州で盛り上げていきたいと思っているので。(競輪を)走るからには、優勝を目指したい。今回は(勝ち上がりで)1着を取れていなかったし、まだまだだと思います。自分の力をもっと上げていかないと」
久留米は、デビュー戦を走った思い出のバンク。世界との戦いを経て、一回りも、二回りも大きくなった山崎が、縁のある地で競輪選手としてのリスタートを切った。
2着の森田優弥だが、単騎で持ち味の巧さを発揮。番手まくりの嘉永の上を、あっさりとまくったのはインパクト大だった。
「(伊藤)颯馬が出切ったらラッキーと思って(九州勢に)付いてました。出切れなくても、どこかに降りて勝負だなと。颯馬が自分が思ってたよりも早く踏んで、いろいろと狂ったんですけど、颯馬が強かった。嘉永さんが番手から出て、3番手にいても優勝はないと思って仕掛けました。(まくれたのは)ギリギリでした。すんなりあの位置を回れたし、展開も向いたので」
最終ホームで8番手となった松浦は、1コーナーから仕掛けて前団に接近。松浦が2センターで失速すると、マークの田尾駿介は内に降りて山崎の後ろへ。そのまま前を追って3着に入った。
「松浦さんとは初連係でしたし、番手に付けられることなんてそんなにない。良い経験ができました。松浦さんが良いスピードで行ったし、新山を超えた段階で2人で決まったと思ったんですけど。良いブロックをもらっちゃいましたね。僕は最後まで踏めたのが良かったです」