ファンの思いに応える今年初めてのG1制覇
昨年は3度のG1制覇でMVPにも輝いた。しかしながら、今年の古性優作は、ここまでG1優勝がゼロ。それでも一戦、一戦に全身全霊を傾ける姿にファンを心を打たれ、今年は初めてファン投票1位に輝いた。それだけにこの優勝の重みは計り知れない。
「自分は華がある選手でもないですし、華があるような競走スタイルでもないんですけど。そういうレース、スタイルでも見てくれているファンのみなさんがいて、まさか自分がファン投票1位になると思っていなかった。その期待にしっかり応えたいなって思って、(今シリーズを)連日、走っていたんですけど、なかなか期待に応えることもできなかった。決勝戦は応援してくれているファンのみなさんもいると思うんですけど。そういう人たちの前で優勝できて本当にうれしいです」
1万人超のファンが詰めかけた平塚競輪場が、古性の優勝に沸いた。ウイニングランの古性は、両手を挙げて、何度も何度もその声援に応えた。
「本当に平塚競輪場が華やかで、ここで優勝したらうれしいだろうなって。(窓場)千加頼のおかげで優勝できたので、本当にうれしいです。今年G1で不甲斐ない結果ばかり出していて、もどかしかった。状態的に岸和田(高松宮記念杯)がすごく良くて、そこから感覚的にも良くない感じが続いていた。けど、今日はしっかり初日から修正していって、今日が一番感触が良かったのでしっかり修正できたなって感じですね」
準決でもタッグを組んだ同期の窓場千加頼との連係。窓場にとっては初めてのG1ファイナルだったが、古性の信頼は揺らぐことはなかった。
「今年の初め(平記念の二次予選で)千加頼が自分と番組が一緒になった時に後ろを回りたいって言った。実力的には僕より千加頼の方が強いですし、そう思ったんですけど、メンタル的な部分の成長がまだ伸びしろがあるなって思った。けど、(3月の)ウィナーズカップで僕が前でヤル気満々だったんですけど、千加頼が準決勝で、前で頑張らせて欲しいって言った時にあれって。なんかこう強くなりそうって思ったんですけど、そこから一気に才能が開花したというか。競輪学校の時に始めて見た時の千加頼のインパクトが強くて、こんなに強いヤツがおるんやって思うぐらい強くて、心が折れそうなくらいだった。そこを目標にしてきて千加頼が低迷していた時期もありましたし、低迷していた理由もメンタル的な部分でしたし、メンタル的な部分を克服した時に今年は来るなって思ったんですけど、本当に思ったよりきましたね」
4車で北日本勢が結束。5番手をキープした窓場だったが、逃げる新山響平の掛かりもいい。それでも窓場がまくりに出て前団に迫った。
「千加頼に全任せしていたので、(北日本ラインに)粘るかなって一瞬、思ったんですけど。ジャンからホームぐらいまで緩んでいて、(新山は)これ掛かるなって思ったんですけど、(まくった)千加頼がすごい加速していった。、乗り越えれるなって一瞬、思ったんですけど(佐藤)慎太郎さんのブロックも強烈でした。でも、その上を千加頼がいっているので、すごい強かった。(窓場が)あそこまで行ってくれていましたし、外に飛んでくるなら内に行こうと思っていた。でも、そのまま踏んでいましたし、外回そうと思って回しました」
佐藤のブロックで窓場のスピードが鈍ると、古性は外に持ち出して直線で強襲。いい時のシャープな伸びが戻ってきた古性は突き抜けて優勝。今年初めてのG1制覇を遂げた。
「準決ぐらいの感じだったら、優勝できていないなって思います。体幹と股関節の使い方をちょっと考えて、開催中にできることのなかではいい感じにいったかなって思います。(今年のG1が残りあと2つで)いまからG1を獲っても昨年と同じ成績しか残せない。これからはもっと去年以上に任せられた位置で、責任感のある走りができたらなって思います」
獲得賞金ランクでは、2位の平原康多に大きく水をあけて断トツのトップ。4年連続でのグランプリ出場権を手に入れても、古性の進化と高みを目指すスタイルはとどまるところを知らない。
窓場千加頼は5番手をキープしたものの、新山もペース駆けで抜群の掛かりで風を切っていく。それでも敢然とまくった窓場は、佐藤のブロックをこらえて2着。初めてのG1ファイナルとは思えない落ち着いた立ち回りが光った。
「(初めてのG1決勝は)最高に気持ち良かったです。周回を重ねるごとに大歓声がすごかったです。新山さんの切り方次第でしたけど。ちょっと(押さえ方が)緩かったので、ちょっと踏んだらその分、(新山が)加速していった。あとは眞杉君と松井君の追い上げに気をつけていた。北日本は4車のアドバンテージがありますし、早めに行ければと思っていました。(最終)2コーナーまくりは狙っていました。(最終)4コーナーを回ってからは優勝を意識しましたし、(佐藤にブロックされたが)執念というか気持ちだった。抜かれたのは残念ですけど、同期の古性さんが優勝で、ワンツーを決められたことはめちゃくちゃうれしいです」
ラインの厚みを生かした新山響平が、迷いなく先行策に出る。窓場のまくりを佐藤がけん制してスピードが鈍り、ゴール勝負には持ち込んだが3着。
「(赤板過ぎに)窓場さんが踏んだんで、ペースを上げた結果、最後の末が甘くなった。流して粘られるとラインに迷惑を掛けるし、松井さんの展開になってしまう。結果的にハイペースになってしまった。(出切ってからも)仕掛けが来てから、お尻を上げてペースを上げれば良かった。そうすれば、もうちょっとゴチャついて、逃げ切りもあったと思う。メリハリをつけて駆ければ良かった。窓場さんが強かったし、その上を行く古性さんも強かった。けど、倒せない相手じゃないっていう手応えもあった。最後まで気持ちを強く持って走れたし、収穫はあった」