• 平塚競輪場 第67回オールスター競輪8/13〜8/18

後記 GⅠ 平塚 08/13 女子オールスター競輪(FⅡ)

地元で魅せた五輪戦士の力

佐藤水菜

佐藤水菜

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 地元の佐藤水菜が、次元の違うパフォーマンスで完全V。パリ五輪を終え13日にフランスから帰国して、その日のナイターから3連勝。強行ローテーション、時差ボケ、昨年末のグランプリ以来のガールズケイリン…。ファンの声援を力に変えた佐藤にとっては、すべてが杞憂に過ぎなかった。
 「パリオリンピックまでほとんどレースをせずに、ひたすらに練習に集中できたおかげで、今回のオールスターもすごくいい結果が出せた。(ナショナルチームの活動で)みなさんに姿を見せられなかった間、自分がどれだけ進化できるかが課題だった。けど、すごくいい形で(ガールズケイリンに)帰ってこられたんじゃないかと思います」
 五輪ではケイリン、スプリントに出場。ガールズケイリンへの切り替えは簡単ではなかったが、3日間、誰にも先頭のゴールを譲ることはなかった。
 決勝では、7番手から仕掛けた坂口楓華を目標に、打鐘2センターから外に持ち出して踏み込んだ。同じ五輪組の太田りゆ、坂口とのダッシュ勝負を早々にケリをつけて、先頭に立って風を切った。
 「坂口選手が打鐘過ぎてから1回動いてきた。1周半から1周の間で行けるタイミングで自分から仕掛けようと思っていた。そのタイミングで坂口選手が動いたので、そこをうまく利用して脚を使わずに前に出ること、最後まで一番で駆け抜けることを考えていた。ゴール前は結構、タレてしまったんですけど、前半のリードがあったおかげで最後は逃げ切れました。基本的には自分が1着でゴールするために駆けているので、ゴール前は(誰にも)譲らない気持ちでした」
 他の6人を置き去りにする圧巻の逃走劇でファンを魅了した。直線では太田を1車身半、突き放してのゴール。誰の目にも力の違いは明らかだった。
 「もう(最終)1コーナーからすごい声援があったので、1コーナーからバックにかけて全開で踏んで、調子がいいなって思いながらでした。バックではすごく声援が聞こえて、さらに加速していけた。ゴール前でもちょっとキツいなって思ったところで声援があったので、踏ん張り切ることができました」
 メダルに届かなかった五輪だったが、ガールズケイリンでは最強をアピール。これから先の競技の継続などは未定だが、「とりあえずオフを挟んで今後をどうするか考えていきたいです」。五輪戦士が見せた最高のパフォーマンス。いま、佐藤にとって、なによりも必要なのは休養だろう。

 結果的には五輪戦士の直線勝負。2着の太田りゆは、佐藤との間合いをこう振り返る。
 「7番車っていうのもあって、スタートは難しかった。優勝を目指すなら前はいらないし後ろも厳しい。中団に自在選手がいたので、そこに入れてもらえればと。ジャンが鳴って見合っていたし、自分も1周半から行ける準備はしていたけど、動きがなかったので待った。そこからは流れに任せてでした。佐藤さんの後ろに入れたけど、追い込みに行くタイミングが良くなかった。終わったあとに、私が追い込みにいったタイミングは250バンクのタイミングだって男子選手に言われました。400バンクなら、もう少し遅くて良かったんだと思います」

 周回中に佐藤の後ろに入った日野未来だったが、最終1センターで前団を乗り越えられず佐藤が離れていく。太田を行かせて3番手に降りて、そのまま3着流れ込んだ。
 「(佐藤の仕掛けに)付け切りたかったんですけど、ちぎれてしまいました。すごいトルクと、すごいスピードでした。(最終)ホームで口が空いてしまって、内からも踏んできていた。でも、最後まであきらめずに、太田さんの後ろにスイッチできればと。3着に残れて良かったです。(佐藤)水菜ちゃんの仕掛けに付いていける脚力をつけたいです。それを目標にして頑張りたい」

Race Playback

レース展開4
 地元の佐藤水菜選手が、圧巻の逃げ切りで完全優勝。懸命に追い込んだ太田りゆ選手が2着。日野未来選手が3着。

レース経過

誘導員 : 桐山敬太郎

 内枠の選手が正攻法の位置を欲しがらなかったため、石井寛子が前受け。7番車の太田りゆ、6番車の坂口楓華が好位を求めて道中で上がっていって太田は2番手に入る。太田を入れた久米詩が3番手で、以下は児玉碧衣、佐藤水菜、日野未来。どこにも入れなかった坂口は最後方に下がる。 赤板を過ぎて太田、佐藤がやや前との車間を空けて仕掛けのタイミングを窺うも、隊列には変化がないまま打鐘を迎えて誘導員は退避。2センターで意を決した坂口が仕掛けて戦端が開かれる。これに反応して太田も4コーナーでスパート。坂口には、佐藤、日野で切り替えて続いてきていて、太田と坂口の車体が合った最終ホームで併走の外を佐藤が一気に踏み込む。日野はやや離れ気味となって、坂口を合わせ切った太田が佐藤を追っていく。日野も3番手に付き直し、その後ろは2コーナー過ぎに坂口を交わして久米、児玉となるが、佐藤のスピード前に誰も動けず。直線に入ると、佐藤と、差を詰めてきた太田の一騎打ちとなるが、後ろの状況を確認した佐藤は渾身の踏み直しで追撃を許さなかった。1車身半差で太田が2着、3着にもそのまま日野が入った。

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