2度目のG3制覇はホームバンク
ラストの直線は、イエローラインをなぞるようにまっしぐら。福田知也が、Vロードを駆け抜けた。
「(優勝の)実感はあんまりないですね。普段やらない中割りみたいのが、最近できるようになった。昨日(3日目)、今日と(7月の)平塚の決勝とかですかね。今日はかなりいい感じで突っ込めて、その辺の成果が出た」
追い込みでありながらも、できることなら外を踏みたいタイプ。ただ、ホームバンクで福田が見ていたコースは違った。
「(和田)真久留君の内が一番伸びるかなって。真久留君の勢いをもらいながら、ぶつかりながらでも踏めば。(自分が踏んだところが)“川崎コース”だった」
地元トリオの後ろを石毛克幸が固めて、4車の南関ラインができあがった。しかしながら、別線の機動型は、藤井侑吾と北津留翼。一筋縄ではいかないことは、わかっていた。打鐘過ぎに佐々木眞也が主導権を握ったが、すかさず藤井が襲い掛かる。中部勢に単騎の諸橋愛が続いて3車で佐々木をとらえると、和田はワンテンポ置いて4番手にスイッチした。
「先行はたぶん藤井君だろうと。でも、(佐々木)眞也君がジャンで叩いてくれた。その頑張りも、僕の優勝につながりました。ただ、(藤井が叩き切って)もう勝負どころが過ぎてしまった。真久留が切り替えてくれて、冷静に対処してくれた」
藤井にわずかに車間が空いた山口富生はいっぱい。3番手にいた諸橋が、最終2センターから追い込む。福田は瞬時の判断で、諸橋と和田の間に進路に進路を取った。
「自分の長所はタテ脚だと思っているので、そこを殺さないように。けど、セッティングを(突っ込める)そっちの方に寄せた。前回の立川から煮詰めて、(今シリーズの)2日目に藤井の後ろに付いて、(セッティングが)あとちょっとだなって。それが昨日のアップ中に出た」
自転車のセッティングに答えを出して迎えた決勝。近況は競走得点を落として101点台まで落としていたが、諸橋をつかまえた差し脚はその点数の脚ではなかった。
「あそこを踏めれば、あんだけ伸びるんだなっていう実感もあった。外じゃ届かなかった。地元の応援も力になりました。点数が落ちちゃって、(優勝まで)トントンと来たけど、周りの人に支えられて優勝ができた。G3で点数を落としていたのも自覚している。9車立てでも戦えるように、コツコツやって1班の点数を確保したい」
優勝から2年も遠ざかっていたが、自身の進化を感じた地元V。88期の福田が衰えるにはまだ早い。
最終2コーナー手前で切り替える選択をした和田真久留は、前とのスペースが空いて思うように伸びなかった。
「まだ(最終)ホームだったし、眞也も地脚タイプなので迎え入れたい気持ちがあった。けど、その辺りが自分の甘さですね。(叩きに来たのが中部勢の)2車だったら良かったけど、諸橋さんも来ていた。迷って切り替えたぶん、前とも車間が空いてしまった。バックの向かい風がキツくて、踏んでるけど出なかった」
単騎の諸橋愛は、藤井ラインを追走。和田が真後ろから迫り、最終2センターから踏まざるを得なかった。
「(山口)富生さんが離れていたし、早めに仕掛けないとなって。早めに踏むハメになりました。(藤井が)赤板でも行きかけてやめて、あれで脚を使った。最後はいっぱいだった。残念ですね。勝ちたかったけどですね。でも、頑張っていれば、そのうちいいこともあると思うんで」