力勝負を制し2週連続の記念V
松阪記念で今年の初V。深谷知広の迷いのない先行を利してつかんだ優勝だった。今節は、シリーズを通しての自力戦。連日のロングスパートが象徴するように、郡司浩平は、本当の持ち味を発揮して勝ち上がった。決勝戦も、神奈川3車の先頭で自力勝負。際立っていた動きの良さは、決勝でも薄れることはなかった。
「4日間自力で、出来過ぎってくらい動けていました。自分が任された時も、後ろにラインとしてチャンスがあるようにっていうのは意識していますし、自力でも勝てるように心掛けて走れたので、良かったです」
望まぬ後ろ攻めとなり、細やかな組み立てが求められた。上昇して、田中大我の突っ張りを見ると、すかさず犬伏をキメて3番手を奪取。ただ、犬伏には強力な4車ラインがある。犬伏を後方に置いたとしても、6番手から放たれる爆発的なスピードは、容易に合わせられるものではない。犬伏の巻き返しに合わせて踏んだ上を行かれると、島川将貴を外に弾いてラインを分断。そこから犬伏を追いかけた。
「スタートは、失敗しました。田中君が、切らせてくれることはないと思ってたので、その時の対処としてあそこの(3番手の)位置を狙えるように心掛けていました。そこから車間を空けながら、犬伏君がいきにくいようにはしていたんですけど、(犬伏が仕掛けてきて)さすがだなって感じでした。それに合わせて、自分のタイミングじゃなく踏んで、上を行かれちゃう感じだった。1センター過ぎに(島川と)スピードが合ったんで、そっち(島川をさばくこと)に考えを切り替えました。正直、結構(犬伏との車間が)空いちゃったんで、どうかなと思った。自分が追いかけて捕まえたっていうよりは、犬伏君が力尽きたところを詰められたっていう感じです」
松阪記念に続いて、2週連続での記念Vで、通算23回目のG3優勝。追加配分の過密な日程のなかで、しっかりと結果を残した。終わってみればシリーズ3勝。今年は12走して10勝。年頭に掲げた、1着を取ることへの意識改革が、実を結んでいる。
「レースのグレードにかかわらず、1着をどうすれば取れるのかっていうのを考えて走れている。決勝も、優勝を狙うっていうよりも、1着を取るっていう気持ちで走れました。今年に入ってから、まず自分が1着を取って、なおかつラインでっていう考え方に変わった。人気になる以上はそれが大事だと思いますし。自分に対しても、プレッシャーをかけて、厳しくいかないといけないなっていうのは、前から考えていたことです。そういうなかで1着を取れているのは、自信にもつながっています。(日程が)詰まってて、練習は追い込めないけど、12月から気持ちも切れていない。もっと上にっていう気持ちもあるんで、与えられたレースのなかで、1着を目指していきます」
もう、甘さは捨てた。勝利への覚悟を決めた今年の郡司は、これまでよりもさらに強い。
成田和也は、遅れ気味の松谷秀幸をさばいて郡司後位を確保。2着に続いた。
「後方だと、犬伏君に突っ張られてもきついんで、前が取れて良かった。僕らのライン的に、とりあえず前に踏むしかないんで、(突っ張りは)仕方ないですね。ジャンで郡司が後ろにいて、並びが逆になってたけど、どっちにしろすぐに叩きに来ると思って警戒はしていました。犬伏君に合わせて郡司が踏んで、どうしようかと考えたけど、郡司の後ろを狙いに行きました。まさか2着までいけるとは思ってなかった。田中君がいたので、そういうレースができた。強運の田中君に、運をいただけた」
豪快なスパートを見せた犬伏湧也だが、直線で力尽きた。3着で悔しさを滲ませた。
「中団からが一番良かったけど、被って力を出せないで終わるのが一番だめだと思ってたので、赤板のところはすぐに引いた。郡司さんよりも先に仕掛けて、どれだけ粘れるかだと思ってたんですけど。島川さんが絡まれたし、自分がもうひと加速できれば、ラインでまくり切れたと思うし、力不足です。G1レベルは、もう一つレベルが高いし、悔しいです」