• 奈良競輪場開設74周年記念春日賞争覇戦2/8〜2/11

後記 GⅢ 奈良 02/08

ラインの力でV奪取

松井宏佑

松井宏佑

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 南関地区の後輩の頑張りに応えて、松井宏佑が記念V。昨年MVPの古性優作を、ラインの力で打ち破った。
 「ラインの各々が、しっかり自分の仕事をできるように、力を出し切った結果だと思う。最低限、ラインから優勝を出せて良かったです」
 南関の先頭を務めた道場晃規の腹は決まっていた。佐々木悠葵の上昇を制して、残り2周半から猛然と突っ張り先行に出る。今節2度目の番手戦だった松井は、道場の余力を見極めつつ、4番手の古性の動きに細心の注意を払う。古性が最終ホームの入り口で持ち出した瞬間に、松井は天性のダッシュで番手から発進。道場の思いに応えて、思い切りペダルを踏み込んだ。
 「道場君は、どんな形でも全力で踏んでくれると思ってました。(周回中が)どんなところでも、ラインの3人で力を出し切ろうと。古性さんは、ちょうど道場君がタレてきたところで、仕掛けてきた。それが見えてからは、前に踏み込むことしか考えてなかったです」
 だが、古性もそれで合わされて終わる選手ではない。松井が番手から出ると、すぐさま内の郡司浩平をキメて、松井の後ろを強奪。4コーナーから追い込んだ古性と、懸命に踏み直した松井の肩が並んだところがゴールだった。際どいゴール勝負は、8分の1車輪差で松井に軍配。松井自身にも、優勝の感触はなかった。
 「正直後ろが誰かは分からなかった。影で誰かが付いてきているのは分かったけど、誰かまでは分からなくて。ゴールも、ギリギリ負けたと思った。南関が人気だったし、お客さんに謝ってたぐらいです」
 21年小田原記念以来3度目のG3優勝で、今年最初のG1全日本選抜に大きな弾みを付けた。年末年始に体調を崩し、今節も万全の調子ではなかった。ここから全日本選抜までの一週間あまりで、どれだけ調子を上げられるかだ。
 「優勝の実感はないんですけど、良いレースはできたと思う。郡司さんが絡まれてしまったけど、最低限、ラインから優勝を出せた。まだ、納得できる調子じゃないんで、1日、1日、ケアに集中して、体を叩いて少しでも良い状態にもっていけるように。今年は地元グランプリなんで、そこを目指して頑張ります」
 平塚グランプリを目指す松井の、勝負の一年がここから始まった。

 驚異的なハンドルさばきで郡司をキメた古性優作だが、最後は松井をとらえ切れず。地元勢を付けていただけに、自身の運行にも不満が残った。
 「いろいろな戦い方を考えたんですけど、あれ(中団からの組み立て)が一番戦いやすいのかなって。松井君が出ていったら、負けるべくして負けてしまうので。松井君が出る前に思いっきり行って叩ければって思っていました。(三谷)将太さんや、山本(伸一)さんがついていたんで、前に出てねじ伏せられれば良かったんですけどね。最後は余裕があったんですけど、踏み込むタイミングが遅かったです。33なのに400みたいなところで踏んでしまったので。体の使い方は今日が一番良かったですね。座る位置を4㎝ズラして、腰椎の使い方だったり骨盤の使い方だったり。でも脚力差を感じましたね。本当に今回は総力戦で戦わないといけない感じでしたし。まあでも負けるべくして負けるレースをしないように。勝てる確率を上げられるように。でも悔しいっすね」
 地元の三谷将太は3着。年始にかかったインフルエンザの影響が残っているなかでも、決勝で確定板入りは外さなかった。
 「(古性にさばかれた郡司が)横によれてきたんで。もっとまっすぐ踏めば良かったですね。後ろもいるんで、外を踏まないとなって思ったんですけど。そうすれば後ろにもチャンスができるんで。古性の修正力の高さを感じました。昨日(3日目)とは別人だったので。1周目、2周目からトルク感というか、ずっと力が入っているなっていう感じで。自分は悪いままずっといってしまったんで。どうやったら修正力をあげられるのか考えないと」

Race Playback

レース展開4
 南関連係で番手発進の松井宏佑選手。最後は後位に追い上げてきた古性優作選手との一騎打ちとなったが、ギリギリ振り切った

レース経過

誘導員 : 小笹隼人

 スタートは郡司浩平が飛び出して南関勢が誘導員の後ろを占める。道中は、道場晃規-松井宏佑-郡司、古性優作-三谷将太-山本伸一、佐々木悠葵-山崎芳仁、皿屋豊の並び。 青板過ぎに佐々木が上昇するが、バックで誘導員との車間を空けた道場が突っ張る。皿屋が近畿勢に切り替えて7番手で、佐々木は8番手に下がる。道場は赤板のホーム付近からペースをアップし、隊列は縦長の一本棒になる。最終ホーム手前からようやく古性がまくりを開始すると、番手の松井も合わせて番手まくりに出る。古性は郡司を捌いて松井の後ろをあっさり取り切るが、松井のスピードは鈍らない。直線手前から古性が詰め寄るも、松井が8分の1車輪振り切って自身3度目の記念制覇。古性はわずかに届かず2着。古性をマークした地元の三谷が3着。

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