古性優が9度目のビッグ制覇で初G2
古性優作
「すごかったでしょ、あれ(笑)」
ヒーローインタビューで古性優作は、こう言ってファンにアピールした。一人だけ次元の違うスピードで単騎の眞杉匠が、前団をのみ込もうとしたその時。外併走をしている古性が、眞杉の優勝を阻むブロック。“古性伝説”として語りぐさになる離れ業をまたひとつ披露した。
「止めなかったら寺崎(浩平)にチャンスはないと。止めたら寺崎にもチャンスが出てくるかなって思ったんですけど」
今シリーズだけでも寺崎とは3度の連係。その寺崎の頑張りに応えるための大立ち回り。そこには近畿の競輪があった。
周回中、近畿勢は前団。寺崎は突っ張り気味に踏みながら、新山響平を受けて3番手を確保した。が、それもつかの間、今度は郡司浩平が飛んできたが、寺崎が果敢に合わせて出る。寺崎の気持ち、そして成長を感じた古性のアクションだった。
「(新山が来て寺崎が)どうするんかなって思って見ていた。浅井(康太)さんをどかすか考えていた。結果的にどかした方が寺崎が楽でしたね」
最終ホームで寺崎は、番手の浅井の外で併走。そこから浅井もいっぱいで徐々に逃げる新山との車間が空いていく。が、明暗を分けた勝負どころはそのあと。強引なようで、しなやかな身体使いで、古性は眞杉に体重を乗せてまくりを止めた。
「(まくってくる選手が)後ろから来たらしっかりと対処しないといけないなと。そこの間合いを取って、(眞杉のまくりを)しっかりとブロックしたかった。寺崎もいっぱい、いっぱいのなかで走ってくれていたと思います。僕も余裕はなかったですね」
眞杉は失速して、次に古性が狙うは押し切り図る新山。直線で踏み込むとシャープに伸びて、新山をつかまえた。
「今回は僕の状態というよりも、寺崎のレベルアップをすごい感じた開催ですね。いままでで一番レベルアップしたなって。寺崎は向上心もすごいありますし、わざわざ大阪きてまで、なにかを盗みに来ようとしてきてくれるぐらいの熱もある。僕もできる範囲のことを教えられればと。それでお互いに切磋琢磨してと思っています」
グランプリ2回に8度のG1制覇も、古性にとっては初めてのG2優勝。「(今回は)G2なんで、しっかりG1を獲れるように」と、例によっておごることなく締めくくった。
単騎の眞杉匠は、打鐘でも前団のやり合いを見て前との距離が空いた9番手。最終ホーム手前から車間を詰めて、ロングまくりもを打つ。一人だけスピードが違ったが、古性のブロックで急失速。再度、踏み込むも2着まで。
「(古性が)うますぎ…。完全にやられました。見てんのかよって…。ペースが速くてちぎれていました。(打鐘過ぎに)岩本(俊介)さんが降りる前に入るか、もうワンテンポ早く行っていれば、古性さんと早めに並べて、行けたと思うんですけど。今日(最終日)は(自転車が)出てました。めちゃくちゃ悔しい…。これでいけないんじゃ弱いですよね」
寺崎の抵抗で踏まされながらも、新山響平が先頭に出て主導権。南関勢、寺崎は合わせたが、古性、眞杉に直線で交わされて3着。しかしながら、シリーズを通してデキの良さが光っていた。
「(スタートは)取れなかったので、突っ張られたら突っ張られたで考えようと思っていました。けど、踏んでいったら出せてくれる感じだった。あの並びだったんで、そのあと(郡司は)来るよなって。微妙に少し踏んで出させるか、合ったところで踏んでと思ったんですけど。ずっと引っ掛かっている感じだった。ずっと影が見えていたけど、見えなくなった。それでもしかしたらって思ったんですけど、最後はいかれちゃいました」