• 岐阜競輪場第3回オールガールズクラシック4/25〜4/27

後記 GⅠ 岐阜 04/25

強さ際立つ逃げ切りV

佐藤水菜

佐藤水菜

決勝優勝写真
決勝優勝写真
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 今年最初のガールズG1を制したのは佐藤水菜。ガールズケイリン最速女王が、一番乗りでガールズグランプリへの切符を手にした。周回中に5番手の佐藤は、打鐘で誘導退避のタイミングで前に出る。1周半を駆ける覚悟が、佐藤にはあった。佐藤を梅川風子が追って、児玉碧衣は、梅川の内で併走。佐藤を脅かす機動力を持った2人の動きを、佐藤が完全にコントロールした。
 「自分の力を信じられました。先行すれば逃げ切れるって思って走りました。(競技で)ある程度はああいうレースで勝ててきたので、長い距離の方が自分は勝率が高かった。決勝は、絶対1周半か、1周は行こうと思っていました」
 絶妙なペース配分でレースを支配すると、外併走からまくってきた梅川も完璧に合わせ切る。ゴール前も、余力を残して力強い踏み直し。文句なしの逃げ切りだった。
 「落ち着いてゴールまで持つように走れました。競技だとあの展開は多いですし、私はレースも見えているので、冷静に走れました。梅川さんに、バックでまくってこない方が良いよと思ってたんですけど、仕掛けてきたので全力で合わせました。一番の力試しができるかたちで優勝できて良かったです」
 準決は、まさかの2着だった。まくりのコースを塞がれて、仕掛けのタイミングが遅れたことが敗因だった。その敗戦が、気持ちを奮い立たせた。
 「もうまくりとかはやりたくないですね。昨日(2日目)みたいになるのが一番いやなので。やるせない気持ちというか、こういうこともあるんだなって。自分が経験したことのない負けパターンだったので。車券を外してしまって申し訳ない気持ちもあるんですけど、自分の成長が見えるので。すごくなんだろう…。久々に競輪が楽しいって思えて。競技は結構、負けて悔しい、楽しいって思えて走れるから、どんどん意欲があがったんです。けど、最近のガールズケイリンは、どこにモチベーションをっていうのがあった。でも、ああいう負けをして、すごく自分にとって成長が見えたレースになった。絶対にああいうことがないように。ああいう展開もあるって念頭において走れたのは、今後の人生に大きな影響を与えました」
 準決の悪夢を振り払うかのような完勝劇。2年振り2度目のオールガールズクラシック制覇で、改めて世界レベルの実力を示した。昨年パリオリンピックが終わって、今年はG1への本格参戦を予定している。幸先よく、最初のG1を制した。目指すは、ガールズケイリン前人未到の領域だ。
 「(グランプリ出場は)最低条件。今年G1を全部獲るって公言していたので。目標は、脇本(雄太)さんと同じ年に、グランプリスラムを獲ることなので。パールカップには、まだ出たことがないので、めちゃくちゃ楽しみなんです。今回ガールズケイリンを走って、危機感がありました。もっと強くならないとっていうのと、軽ギアにもっと対応しないと」
 誰も追いつけないスピードと、どこからでも仕掛けられる気持ちの強さを、今節でまざまざと見せつけた。けれども、まだまだ成長過程。今よりももっと強い、想像もできないほど強いサトミナを、ファンは待っている。

 4コーナーでようやく外が開けた児玉碧衣だったが、佐藤に詰め寄ることはできなかった。オールガールズクラシック連覇はならずで、悔しさが残る。
 「何パターンか考えてはいましたけど、(併走になって)ああなるなって思っていましたし、想定はしていました。ああなったら4コーナー勝負だと思ったんですけど、差し脚がないんで。サトミナ(佐藤水菜)もペースにずっと入れていたので。今回は1週間練習してきてここまでこれたので。6月の岸和田はもっと走れるんじゃないかなって。(気持ち的にも)6月に向けて頑張りたいなっていまのところ思えているので。次は負けないように」

 外併走からまくりを狙った梅川風子だったが、佐藤に力負けで3着。
 「(周回中に)サトミナがきたので。番手が欲しいなって。プランにはなかったんですけど、いいプランだと思って。でも、逆にうまくやられましたね。(組み立てが)難しかったというより、600前からいくサトミナの勇気がすごい。そこがスピードよりも上回っていたと思う。勝ちに徹する以上、自分はあそこ(打鐘付近)からは踏めないので。正直、サトミナがもっとペースを上げてくれたらもう少し回せていたと思うんですけど。変なところにいたんで行くしかないなって。(今シリーズの状態は)めちゃくちゃいいっていうわけじゃなかったんですけど。勇気が足りなかったですね。普通開催でも勇気を持って。ああいう決して早いピッチじゃなくても、誰も行きたくならないようなペースっていうのは勉強になりました」

Race Playback

レース展開4
 早めの動き出しで先手を奪った佐藤水菜選手は、後ろをイン児玉碧衣選手、アウト梅川風子選手での併走に誘い込む。得意の形から最終2コーナーでフルダッシュ。後続の追撃を許さなかった

レース経過

誘導員 : 山田祥明

 スタートは少し見合うとしびれを切らした小林莉子が誘導員を追い掛ける。道中は小林、児玉碧衣、3番手がインに佐藤水菜、アウトに細田愛未で併走が続き、その後ろは梅川風子、石井貴子、柳原真緒で周回を重ねるが、青板のバックで佐藤が車を下げて、この動きを見て後方から上昇した石井が4番手に追い上げて、佐藤は5番手に収まり、赤板のホーム付近でようやく隊列が一本棒に落ち着く。 赤板周回の2コーナーで小林が誘導員との車間を空けて後方を警戒するなか、打鐘で児玉、佐藤がそれぞれ踏み上げる。佐藤は2センター手前で先頭に立ち、最終ホームにかけては2番手がインに児玉、アウトに梅川で併走。3番手以降もイン側に小林、柳原、アウトには追い上げた石井、細田でそれぞれ併走が続く。先頭の佐藤はペースに入れつつ、2番手外の梅川の動きをしきりに警戒。2コーナー出口で梅川が踏み込むと、佐藤もそれに合わせてスパートする。バックでは梅川に並びかけられたものの、佐藤は2センターで梅川を合わせ切ると、直線でも後続に詰め寄る隙を与えずに振り切って今年最初のG1を制した。最終ホームでは佐藤後位という絶好の位置を確保した児玉だったが、内に詰まり直線でコースができるも佐藤との差を詰められず2着。佐藤に合わされながらも外併走をこらえた梅川が3着。

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