単騎の眞杉匠が地元勢を粉砕
眞杉匠
昨年4月の西武園記念では、5車で結束した地元勢とは別線。後方からのまくりで深谷知広をのみ込んでの優勝だった。
「(西武園記念連覇で)マグレって続くものですね」と、振り返った。
今年も4車の地元とは別で単騎になった眞杉匠にとっては、いつもの仲間が相手だけに戦いづらさはあっても、気楽な立場だったのかもしれない。
「地元が相手だったのでやりづらさはあったけど、走りながら(組み立てを)考えていました」
赤板過ぎに山口拳矢が、新山響平の突っ張りを許さずに先頭に立つ。森田優弥は3番手で新山を内に閉じ込めて、眞杉はじっと最後方で我慢。森田が踏み込ん主導権を握ると、地元勢に続いた眞杉は山口より1車前の5番手に入って最終ホームを通過した。
「(山口)拳矢さんが後ろ攻めになった時点で、新山さんと前で踏み合いになると思った。けど、(新山が)出させた。森田も切り替えていったので、その流れにうまく乗っていけた」
真後ろの山口、8番手に新山を置いて、眞杉がロングラインの地元勢を射程圏に入れた。
「みんなが脚を使ったところで、僕だけサラ脚だった。(まくりに行って)前さえ乗り越えられればと」
バック手前からまくりを打った眞杉が、好スピードでコーナーに突入。2センター過ぎに武藤龍生のけん制を受けて、今度は3番手の宿口陽一が森田の内を突っ込んだ。眞杉がピタリと宿口をとらえたところがゴールだった。
「(宿口が)内にいたのは見えていたけど、なんとか最後、伸びた。記念が弱すぎだけど、積極的に走って次につながるように走れば、記念も獲れるようになるかと」
眞杉がこう言うように、記念は昨年4月の西武園以来のV。その間にサマーナイトフェスティバルを2度、そして共同通信社杯とビッグでは3回の優勝があるだけに無理はない。
「このあとは(9月はあっ旋がないので)1カ月ぐらい空くし、合宿の予定もある。(10月の)寬仁親王牌に向けてやっていきたい」
今年の獲得賞金は1億を優に超えて3位。獲得賞金でのグランプリ出場を確かなものにしているだけに、焦りこそないだろう。が、「SSになる前となったあとのダイジェストを見て比べている」と、シリーズ中に言っていたように、まだまだ自身が満足できる状態にはない。一昨年後半、2度のタイトルを獲得したあの感覚を求めて、9月はトレーニングに明け暮れる。
4車ラインを厚みを生かして森田が先行策。地元3番手の宿口陽一は、最終4コーナー手前から森田のインを突いてイチかバチかのコース取りも2着。
「(森田が)すごいいいレースをしてくれた。自分もやれることをと思ったけど、あれで外をいっても優勝はない。内を突いたことが、正解かどうかわからない。けど、優勝するにはシビアにいかないと。難しいところではあった」
逃げた森田の番手の武藤龍生は、眞杉のまくりを阻めずに厳しい表情で振り返る。
「(森田は)出る時も(山口)拳矢が、新山を後ろに置こうとして出させてくれた。自分たちにはいいかたちになった。自分は森田の踏み出しに集中していて、誰か飛んできたら止めようと。(自分たちが)4車いるので眞杉も飛んでくるのに時間が掛かっていたし、後ろに先輩もいるので早めに踏ませてはもらった。けど、悔しいです。(地元から)誰かしら優勝を出さないといけなかった」