GⅠSPECIAL Inside report GⅠ 前橋 10/07
稲垣裕之のG1初優勝で幕を閉じた第25回寬仁親王牌。稲垣が今年6人目のG1覇者となったことで、グランプリの残るシートは3つになった。
準決勝に17名が勝ち上がるなど、今大会は中近勢の存在感が際立っていた。今年のG1最終戦は11月競輪祭。このまま中近勢の攻勢が続くのか、それとも他地区の巻き返しはあるのか。グランプリ出場権をかけたし烈な争いもいよいよ最終章を迎える。大躍進した近畿勢
近畿勢は決勝に5名が勝ち上がった。古性優作はこれがG1初優出。オールスターの敗戦を機に「乗り方も含めて練習方法を全て変えた」。新しい取り組みが実を結んだ形だ。
「豊橋記念で(三谷)竜生さんとかに話を聞いて、かなり変えた。それがいいと思う。G1で戦うために試行錯誤してきたし、今回決勝の雰囲気を味わえたんで。これからは近畿の先輩選手みたいに、つねに決勝に乗れるようになりたい」
山田久徳にもG1初優出のチャンスはあった。準決勝で古性のまくりを追えれば。その思いは強い。
「準決勝もだけど、色んなとこで無駄脚を使った。それが原因というか。でも練習とかは悪くないし、やったことは出てる。あとはスタイルとか突き詰めていって、結果に結びつくように。大きなことは言えないけど、ちょっとずつですね」
連勝で準決勝に進出した稲毛健太は直前の練習に手ごたえを感じたようだ。
「来る前に瞬発的なウエイトを1日だけやったらレースでの反応がよかった。このあと空いて練習できるんで、ウエイトをやって自転車に乗ろうかなと思ってる」佳境を迎える賞金争い
賞金争いもいよいよ佳境に。平原康の決勝2着で賞金ランク9位になった竹内優作は残り1カ月で巻き返しを図る。
「(最終日)ああいうのが課題ですね。そこ(位置取り)も含めてやっていかないと。(今シリーズは)練習不足です。(最終日は番手に渡邉一が入ったこともあるが)結果逃げ切れてないんで。4日間走る体力がない。(ウエイトで腰を痛めて)練習できなかったから、そこをしっかりケアをしていきたい」
武田豊樹はランク12位。現状を冷静に分析しながら、終盤の戦いを見すえる。
「(感じは)結果どおりですね。悪くはないと思います。(残るG1はひとつだが)焦りはないです。落ち着いてレースが読めれば。(今年は残り)あと何レースもないんで、大幅にガラッと変わるかどうかはわかんないんで。ちょっとした流れを大切にしていきたい」
金子貴志も「今回は日に日に体の感じがよかった。あとはまたチャンスが来たときに頑張りたい」と話すように、中部勢の上昇ムードに乗っていければ一発逆転の可能性はある。
早坂秀の番手から理事長杯を制した新田祐大だったが準決勝でまさかの9着大敗。4日間のシリーズをこう振り返る。
「今回はいいところがなかったですね。気持ちの部分が大きいと思うけど、気持ちと状態と重なる部分はあると思う。そのバランスが取れてなかった」
中川誠一郎は終盤戦、そしてグランプリへ向けてようやく感覚を取り戻した。
「調整失敗なのか(オリンピック後は)しっくり来なかったけど、最終日はやっとしっかり踏み込めた。復帰してから初めてよかったし、いいときの感覚が戻ってきた。地元記念にギリギリ間に合いました」松尾信は大舞台で手ごたえ
今大会がG1初挑戦という選手も多かった。金子幸央は9732着。日に日にG1の雰囲気にも慣れていった。
「最初の2日間は展開に戸惑ったけど、後半は自分らしいレースができました。しっかり踏み切れてたし、最終日は(神山拓と)ワンツー決まったんでよかった。実りある開催だったし、次に生かしたい」
5645着と確定板にはあがれなかった松尾信太郎だが着順以上の伸びを見せていた。
「大会前は(前に)離れて追いかけてる自分しか想像できなかった。でも7月から我慢して乗り続けた自転車がようやくかみ合ってくれた。楽しかったし、いい経験ができた」
3日目に帰郷となった藤岡隆治だが、「これが今の自分の実力。結果は仕方ないけど、自分の競走はしたので。独特の雰囲気で走れていい勉強になりました。今度は点数を取って出たい」。初の大舞台に刺激を受けていた。