ピックアップ GⅠ 名古屋 08/14
ファン投票1位に輝いた脇本雄太は、着で昨年3月のウィナーズカップ以来、決勝進出を逸した。G1だけでも7場所連続で優出中だっただけに、まさかといった思いもあるが、6着だったシャイニングスター賞、届かず4着の準決で脇本が叩き出した個人上がりは、それぞれ10秒6、10秒8と驚異的なタイム。舞台がタイムの出やすい名古屋だったとはいえ、脇本以外のトップ選手がスピード対策を施した結果だろう。来年に東京五輪を控え、競技に重きを置かざるを得ない今年、脇本に残されたのは年末のグランプリのみ。バンクコンディションが打って変わる立川で“脇本一強”時代のまま、五輪イヤーにつなぐのか。競輪組、ナショナル組、それぞれの進化が勝負を面白くさせる。
シリーズ4日目に行われたガールズドリームは、石井寛子が優勝。3年連続のファン投票1位と不動の人気を誇る児玉碧衣は、持ち前のダッシュを利かせた先行策でレースを支配した。2着に敗れたものの、多くのファンが納得するパフォーマンスだっただろう。
「誰がいるっていうのは関係なく、自分が思ったところで行こうと思ってました。自分が仕掛けたタイミングで(山原)さくらさんも仕掛けたんでキツかったです。(最終)2コーナーでは踏み直せたけど、4コーナーはタレました。でも、やるべきことはやった。直線は踏ん張れなかったけど、(3月のガールズコレクション)大垣よりも明らかに良くなっている。まだまだ強くなれると思っているんで、またしっかり練習します」
神山雄一郎は16回のG1優勝のうち、5回がオールスター。“オールスター男”の通算871勝目の最終日の白星にスタンドは沸いた。
「(走らなかった4日目に)しっかり調整をした甲斐があって、最終日でも気持ちを切らさず自分の力を出せた。連日、応援をしてもらってたし、お客さんに見えないところでもきっちりやらないと。見えるところでは、誰でもやるんで。それで結果を出さないと。調子は悪くないと思うので、このまま小田原記念(8月24日から)で結果を残したい。9月は配分が止まるんで」
「しょぼいレースだけはするなって言われました」と、師匠の武井大介の教え通り、4走すべて主導権を握った野口裕史の初G1は着。
「かなり勉強になったし、収穫はありました。ジャンからホームのペース配分を考えれば、もうちょっとやれるかなって思います。(今シリーズは)出るのが必死で、そこからカマされないようにと思ってた。A級の時もそうだったけど、まずはカマされないように。次はカマシ、まくりを合わせられるように。それで番手の人と勝負できるようにですね。スピード域を高めていければ、もうちょっと楽なんだろうなって感じました」
すでにグランプリの出場権を獲得している脇本、そして今シリーズの優勝で手に入れた新田祐大は、年末のグランプリがあるが、同じナショナルチームの深谷知広は、シリーズ着でここが今年最後になることが濃厚だ。最終日は圧巻のまくりで地元ファンの声援に応えた。
「最終日は展開も向いたけど、しっかりと自分の踏み方もできた。1回でも地元で1着を取れて良かった。このあとはオリンピックの選考もあるので、気が抜けない。もしかしたら次に日本の競輪を走るのは、来年のオールスターかもしれない。少し日本の競輪から離れますけど、しっかりと(競技で世界と)戦っていきたい」
着でシリーズ未勝利ながら、清水裕友の動きの良さも目を引いた。中四国4車で結束したシャイニングスター賞では、太田竜馬が落車のアクシデント。番手の清水がとっさの判断で先行策。ラインを上位独占に導いた。
「シリーズを通して納得のいく動きができた。体が動いてきました。(前回の)弥彦くらいから、だんだんといい時の動きになってきた。体が勝手に反応するようになってきた」