ピックアップ GⅠ 名古屋 08/12
昨年に続いて同じ名古屋競輪場を舞台に5日間にわたり開催されたオールスターは、前年比を大きく上回る117億円強を売り上げた。無観客での開催など、まだまだ新型コロナウイルス感染症の影響があるなかでの前年比増は、7月のサマーナイトフェスティバル以来の9車立ての競輪だったことも起因しているだろう。ファンが選んだトップ選手による5日間のハイスピードバトルは、ラインの力を結集して脇本雄太を倒した松浦悠士の栄冠で幕を閉じた。
13年にパーキンス(オーストラリア)が出した10秒4のバンクレコードに並ぶ上がりタイムを来年の東京五輪でメダルの期待がかかる脇本が4日目の準決でマーク。北京、ロンドン、リオデジャネイロと3度の五輪出場経験がある渡邉一成も、最終日にまくりで同タイムを叩き出し、シリーズ2勝目を挙げた。
「状態が良かっただけに、一次予選が悔やまれる。暑さ対策を日に日に講じてきてたけど、暑さにうまく対応しきれなかった。判断力が鈍ったり、力を入れたい時に、力が入り切らない感覚があった」
酷暑のシリーズでコンディションづくりに苦しみながらのバンクレコードタイ。レース展開が比較的シンプルな7車立てなら、やはり渡邉の魅力は増す。
河端朋之は4走で3度の確定板。その3走がすべて先行策でのもの。東京五輪では補欠だけに、今後もナショナルチームでのトレーニングが続くが、押さえ先行もできる“競輪”の脚になってきている。
「(先行とまくり)どっちもできればいいんですけど。そういう展開になってないっていうのもあるんですけど、まくりが出てない。押さえ先行でもマイペースならそこそこ戦える感じがあります」
脇本との準決が悔やまれる柴崎淳は、予選の2走と最終日で3勝を挙げた。この季節は狙えそうだ。
「(準決が)終わってからですけど、(脇本を)苦しめるならこれかなっていうのがあった。ここ(オールスター)に照準を合わせてきたのは事実だし、体がすごく変わった。乗った感触、モガいた感触が急に変わった。去年もこの時期くらいから上がってきてるんで、自然と体がそうなってるのかもしれない。ここから(さらに)上げていきたい」
シャイニングスター賞、準決ではシンガリに沈んだ新山響平だが、オリオン賞では2着に粘り込み、最終日は島川将貴との主導権争いを制して、佐藤慎太郎を振り切る逃走劇を見せた。
「脚は絶好調に近いくらい仕上がってる。(ナショナルチームの)コーチたちが一流だから、調整がうまい。休む時はこんなにゆるめていいって、自分でやっていると不安になるけど。それが結果バッチリですから。勉強になるし、いまの自分に合っている」