ピックアップ GⅢ 青森 09/23
開設71周年記念みちのく記念競輪『善知鳥杯争奪戦』は、地元地区の北日本勢がラインの結束力を示し、佐々木雄一のG3初優勝で幕を閉じた。共同通信社杯の直後の開催とあってS班は不在だったが、それだけに若手機動型の躍動が際立った開催だった。
嵯峨昇喜郎は通算2度目の地元記念。初日は打鐘先行で鹿内翔とワンツー。準決勝は吉田敏洋や、上田尭弥と山田英明の強敵を相手に果敢に風を切り、坂本貴史の初めての地元記念決勝進出の立役者となった。
「前回の富山が悪過ぎて、今回は絶対に積極的に行こうと決めていました。準決は(坂本)貴史さんを決勝に乗せることができたし、自分の役割を全うできたと思います。元々持病の腰痛もあるし、函館での落車もあって、ケアとかを先輩たちからいろいろアドバイスしてもらっています。今は状態は上がってきていますね」
藤井侑吾は決勝3着でブレイクを果たした7月富山記念が記憶に新しい。自身2度目の記念は未勝利で終わったが、2日目に練習仲間の吉田敏洋とワンツーを決めるなど存在感が目を引いた。百戦錬磨の吉田から「まだまだこんなもんじゃない」と評される中部の新大砲は、11月には初のG1の舞台が控えているだけに、さらなる飛躍が期待される。
「準決の失敗もあったし、本当は4日間先行したかった。まだ若いし、積極的に走りたい。今回で、レースの流れに乗れればやれるかなって感触はあった。もっと相手から嫌だと思われる選手にならないといけない。競輪祭もあるし、やっぱりそこに向けてやっていかないと。(競輪祭まで)あと2カ月、しっかり練習してきます」
若手の活躍も目立ったが、デビュー21年目の吉田敏洋も熱かった。初日特選では、静岡に移籍した深谷知広とガチンコ勝負。「久々に楽しいレースだった」と振り返った。優出こそ逃したが、最終日には迫力満点のまくりで白星。「まだまだこんなもんじゃない」のは吉田とて同じだろう。
「(最終日は)前で踏み合うと思っていなかったし、予想外。本当は(先行で)勝負しにいくつもりだった。初日は、まくり切れていないし悔しかったね。やっぱり9車の方が走りやすいよ。9車は体に染み付いてきた量が違うから。苦しいけど、脚を使って動いて位置を取れる。そこからなら、深谷と僕とで力の差はあるけど、詰め寄ることはできる。勝てると思って走っていたから悔しかった。あとは力というよりもキレ。もう力を付ける時期は終わったでしょう(笑)」
最終日6Rには「競輪ルーキーシリーズ2021プラス」が行われた。優勝は養成所在所1位の犬伏湧也。超スピードのまくりで、ラスト半周の上りタイムは10秒8。今節唯一の上り10秒台を叩き出し、前評判通りの実力を誇示した。
「(前が)遠いなと思ったけど、踏み込んだ時に軽くて進んでくれた。(展開は)想定内だったので、あとは自分の脚がどこまで通用するか。そのなかで1着で、上杉君は(A級1、2班戦で)6連勝をしている。そういう選手に勝てたのは自信になった。青森(のバンク)は重いと聞いていたし、そのイメージだったけど、タイムも出ていたし良かった。今の状態がいいのかな。この調子で9連勝をしたい。師匠(阿竹智史)と一緒に走りたいっていうのがあるので頑張りたい。そこが目標。とりあえずS級になるのが第一。そこは変わらずにひたむきに頑張りたい」