佐々木雄一が記念初制覇
「うれしいけど、そこまで実感がないですね」
99年にデビュー。2年足らずでG1の初舞台を踏んだ。初のS級は00年。02年からはS級に定着して、その後いままでずっとこの地位を守っている。10年には地元、平のオールスターでG1初優出。その前からタイトルを嘱望されていたが、グレードレースには縁がなかった。その佐々木雄一が41歳でG3初制覇を飾った。
「予想していた展開。思った通りでした。(阿部)拓真が深谷(知広)君にも負けずに先手を取りに行ってくれた。あとは(坂本)貴史が優勝をできるタイミングで出ていってくれた。自分はその後ろで2人を援護してと」
北日本のラインの力が光った。脚力では抜けている深谷を後方に置くように、阿部拓真が気迫の主導権。打鐘から緩めることなくレースを引っ張った。そして地元の坂本貴史も迷わず番手まくり。同地区の後輩の頑張りが、佐々木にチャンスを生んだ。
「(4番手の)上田(尭弥)君が思ったよりも早く来たけど、上田君を止めちゃえば、後ろは来られないと思った。でも、深谷君が強かった。深谷君が伸びてきて、抜かれた感じがしました。(優勝は)半信半疑でしたね」
佐々木が上田のまくりをけん制して阻む。坂本が先頭で最後の直線を迎えたが、東口善朋、深谷が迫ってきた。外を強襲する深谷とは、内、外で離れたゴール。それだけにVの確信はもてなかったが、深谷を半車輪退けての優勝だった。
「前の2人が頑張ってくれたおかげです。寄り道しながら、なんとかここまで来られた。(今後の目標は)下の子が二十歳になるまで頑張る。来年、小学校なので、あと14年。1年1年、調子は変わる。毎年が勝負だし、目の前の一戦一戦を頑張りたい」
遅すぎた春。これからも佐々木は地に足をつけて、ラインを、仲間たちを思いやりながら歳を重ねていく。
7番手で苦しい流れに陥った深谷知広だったが、最終バック手前から大外をまくって2着。V逸もさすがのパワーを見せた。
「先行するタイミングが取れなくて、まくりに回ったけど力不足でした。(最終3コーナーのあおりは)まくりなので仕方ない。久しぶりのまくりでゴール前勝負できて、最低限ですね。まくりも出していかないと厳しい。そのなかで先行にもこだわっていきたい」
吉澤純平に託した東口善朋は、最終バックから内に進路を取って佐々木を脅かした。
「(吉澤)純平は押さえていってくれてるし、コースを探すしかなかった。まくりやカマシならスピードをもらえるんですけどね。(吉澤は)上田の動きを見て迷ったのかな。(優勝を)狙っていただけに悔しいです」
地元の坂本貴史は、ちゅうちょすることなく番手まくり敢行も4着に沈んだ。
「力不足です。今日(決勝)は(最終)2コーナーで行くと決めていた。深谷君も強いし、(吉澤)純平さんも中団にいたので。アベタク(阿部)の気持ちに応えられず申し訳ない。地元で優勝したかったし悔しい。ただ、今後も競輪人生は続くしまた頑張りたい」