ピックアップ GⅢ 取手 06/04
取手記念から中7日で東西対抗の大一番、高松宮記念杯(G1)が控えている。宮杯組にとっては、これが最後のグレードレース。それぞれが先を見据えていたのは言うまでもない。初の地元記念となった吉田有希は2着。3日目に勝ち星を挙げたあとは「まだ6割」と言っていたものの、最終日でタッグを組んだ佐藤慎太郎とのワンツーを振り返った顔には、いつもの笑顔が戻っていた。
「昨日(3日目)レースが終わって、兄(拓矢)にはこのままだとズルズルいくから気合を入れ直していけって言われた。それで(兄に)自転車をみてもらったら、ものすごく楽で前の(いい時の)感覚だった。普段はああしろ、こうしろとは言わないんですけど、ここぞっていう時に言ってもらえるし、兄の存在は大きい。自転車がかみ合ってないっていうのも兄がわかったみたいで、寸法を測って元に戻してくれた。踏み出しも最近にない感じだった。(最終)1コーナー、1センターのスピードも(佐藤)慎太郎さんに良かったって言ってもらえたし、競輪IQが高いって言ってもらえた。最終日はいい走りができたと思う。日本一の番手選手に、そう言ってもらえたのは自信になる」
兄であり師匠でもある拓矢の力を借りて、最終日にようやくらしさを取り戻した吉田は、6月16日の高松宮記念杯が初めてのG1になる。
「やっと前に出だしました」と、“アタリ”がついて胸をなで下ろしたのは橋本強。1着でシリーズ2勝をマークしたのは今年初めてで、高松宮記念杯に手ごたえを得た。
「今回は太田(竜馬)君、松浦(悠士)君に付けさせてもらって得るものがあった。高松宮記念杯に向けて仕上げたい。あそこ(準決の松浦の動き)に付いていければ、タイトルもみえてくる。その差を感じました。でも、やっと(自転車が)出だした。あとは瞬間の加速を煮詰めていきたい。まくりには付けられるけど、カマシに離れることが多い。そこの課題はわかっている」
大垣、大宮、そして今シリーズの取手記念。この3場所で挙げた4勝が武井大介にとっては、今年の勝ち星のすべて。大垣からガラリと変わった要因は、何なのか。
「最近は練習をしても(ヒザに)水がたまらなくなった。でも、ずっと成績が出なくて、流れに乗れなかった。それで大垣からいまどきのフレームに換えた。そしたらみんなこんな感じなのかって。これじゃ(前のフレームでは)いくら練習やっててもっていうのがあった。このフレームだと練習をやってもトップスピードが違う。着以上に感じがつかめてきた。連日、3番手だったんですけど、今日(最終日)は初めてのハコだった。今日踏んでみて、やっぱりいいっていうのがわかったし、来期(7月から)は1班を狙える点数を取りたい」
野村典嗣は今期の競走得点は94点台。S級確保には遠いが、単騎での2日目の動き、最終日のカマシを見ていると、これから上昇カーブを描いてきそうだ。
「1月の豊橋で落車した時の鎖骨のピンを(前回の)青森のあとですね、1カ月くらい前に抜いた。体が別人のようだし、やっとかみ合ってきた。これなら楽しみですね。弟子(渡部遥・122期)も頑張っているし、自分もうかうかしてられない。頑張らないと」