吉田拓が地元記念Vに闘志
S班4名が参戦を予定しているが、このシリーズに最も強い思い入れがあるのは地元の吉田拓矢だろう。吉田は昨年11月の競輪祭で初戴冠を果たすと、今年は初戦の1月立川記念でいきなり優勝。新S班として最高のスタート切ったが、当所の全日本選抜は、S班として参戦する初のG1が地元ということも重なり振るわなかった。しかしながら、その後もレベルの高い走りを続けている。ダービーでは着。準決こそ本来の走りができなかったが、特選、ゴールデンレーサー賞では、ともに番手の平原康とワンツーを決めている。内容の濃い走りが光り、最終日は先行策で勝ち星を挙げた。地元記念で弟の吉田有希と待望の兄弟あっせん。吉澤純平、杉森輝大、武田豊樹ら地元勢も多く、さらには同じS班の宿口陽一も吉田にとっては心強い存在だ。直前の5月宇都宮記念のVで勢いも加速。ファンの期待に応える力走でV戦線をリードしよう。
今年も安定感抜群な走りを披露している松浦悠士を重視する手もある。2月奈良、4月川崎と記念を2V。ビッグレースでは全日本選抜、ウィナーズカップで準Vと力のあるところを見せている。ダービーでは二次予選敗退もシリーズ後半を連勝で締めた。自身が言うように平バンクがマッチしないところもあったようで、課題を残したのは事実だが心配はいらないだろう。当所は19年に記念制覇、2月の全日本選抜着と相性がいい。また、全日本選抜、ウィナーズカップのファイナルで連係している太田竜馬がいるのも心強く、今シリーズも連係となれば他地区にとっては脅威になろう。
ベテラン佐藤慎太郎は、まったく年齢を感じさせない驚きの安定感を誇り、地区を超えた連係も多い。ダービーでは眞杉匠、平原の後位から俊敏な立ち回りで準V。超一のテクニックと差し脚が際立っていた。そのダービーを指定練習中の落車のアクシデントで欠場となった新田祐大は怪我の状態が心配だ。北日本勢は新田が大きな鍵を握っていることに間違いはないが、佐藤の差し脚なら展開不問で上位進出が狙える。
和田真久留、和田健太郎が中心を担う南関勢。ダービーでは一次予選の1勝にとどまった和田真ながら、全日本選抜、ウィナーズカップでは準決にコマを進めているように、グレード戦線で安定した戦績を残している。また、昨年は落車禍に泣かされた和田健だが、最近は本来の鋭いさばきと堅実な差し脚が戻ってきている。完調というわけではないだろうが、和田真ら機動タイプに乗れれば上位争いができるデキにはある。
近畿勢は三谷竜生に期待がかかる。4月武雄記念で予選を連勝すると、続くダービーでも一、二次予選を2、3着で動きも上々だった。三谷らしい勝負をあきらめないしぶとい走りが見られるようになったのは、近畿地区にとっては頼もしいかぎり。南修二、松岡健介らと息を合わせてV戦線を活気づかせる。